ブラック労働者 

 「ドイツ人は定時になったらスパッと仕事を終えて帰る」という話を昔からよく聞いた。さすがドイツ人は厳格だ──みたいな話のながれである。

 しかし、これはドイツ人だからではなかった。中国人も定時になったらさっさと帰る。みんな夕方の散歩とかスポーツとかを楽しみ、ゆっくり食事している。

 おれは日本人だけが残業にかんして無頓着で異常であることを、会社でこういうふうに説明している。

「日本人でも親戚に葬式が出たら問答無用で会社を休むでしょう?『仕事なので父親の葬式は出ませんでした』とかありえないよね。それと同じレベルで、毎日毎日おそくまで家族も趣味も子育てもなにもかも無視して残業というのは、世界で日本でだけ通用するあり得ないくらいムチャクチャなことなんです」

 ところが、こういうムチャクチャが長年まかりとおってきていると、残業をなくしたい経営者が何をどう言っても、残業しようとする人が出てくる。災害時に電車がとまっても歩いて出勤する人がいるのと同じ構造だ。

 残業問題は経営者がブラックな場合はもちろんあって、これは「悪者」がはっきりするので叩きやすいからSNSや週刊誌的に話題になりやすい。

 しかし多くのばあいブラックなのは労働者じしんなのだ。これは話題にならない。叩くのが自分というのはシャレにもならないからだ。

 「でも仕事がねえ」と言い合いながら、その先に何もない道をみんなでいっしょに肩を組んで歩いていく。誰にも指示されたわけではないのに、喜んで歩いていく。



[2018/07/28 00:16] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

組織バランス 

 我が社の強みは開発部でその次が営業部である。前からそうだった。

 もともとアイデアを製品にするのが得意な会社で社員のメンタリティも「どうなるかしらんけどいっぺんやってみようや」という感じである。こういうもともとの気質に新社長(おれ)のいいかげんな性格が拍車をかけている。開発が主力になるのは当然のことだ。

 それを売ってくる営業がそれに次ぐ。挑戦する開発にはミスがつきものなので、そういうアイデア製品に問題があったとき、丸く収める能力が当社の営業には高い。もともと逆境に強いのだが、昨年はチャンスにも強みを見せるようになった。

 ひるがえって他の部署はどうかというと、物流部や管理部(経理・総務)は強みにはなっていなかった。まあ中小のメーカーというのはそういうものである。作ってなんぼ売れてなんぼの自転車操業、とりあえず製品を出してそれを売ってこなければ物流も管理も意味がない。その意味では開発と営業が主力になるのはべつにおかしなことではない。

 しかし物流や管理が強みではないといっても、それがゆるされるのは「競合他社と同程度なら」という条件つきだ。

 競合他社よりレベルが劣ってしまうと、開発と営業がいくらがんばっても物流や管理部門がボトルネックになってしまって業績の足かせになってしまう。とくに企業が勢いよく成長しようとしたときに、部署間の成長バランスが取れていないと困る。


(1)開発部がいい製品を作った
(2)営業部が売り込みに成功した

まではうまく進んでも

(3)しかし売れすぎて物流部があっさり欠品させた


でジ・エンドとなる。もしくは


(1)開発部がいい製品を作った
(2)営業部が売り込みに成功した
(3)物流部も順調に出荷をしている

までうまく進んでも

(4)しかし多忙になっていく社員を管理部がケアをできず志気が低下


では次のサイクルに入っていけない。

 企業活動において、通常期には主力部門が会社の業績を規定する。しかし急成長期・好調期には非主力部門が会社の業績を規定するのだ。主力ではない部門は「強み」にまでならなくてもいいが「弱み」にしてはいけない──のである。



 また、だいじなことがある。これまでリソースを投入されてこなかった部門というのは、いったん火がつくとめちゃくちゃ伸びるのだ。

 社長就任から3年半、物流部門をテコ入れしてきた。

 とはいっても突飛なことはやっていない。外部から専門家を招いて現場改善のアドバイスをもらい、週イチのミーティングと現場めぐりで課題を把握して現場にすぐアドバイスする。必要な投資(机や棚や文房具を買ったり)をし、3カ月に1回くらい加古川駅前の三河屋で安くてうまい隠れ名物のシュークリームを買ってパートのおばちゃんたちに持っていく。

 するとこれまでテコが入っていなかっただけあってえらい勢いで伸びた。これまでそれほど工夫をしてこなかった部署は、全員がちょっと工夫をはじめるだけですべての業務がかけ算式に効率化する。

 売上げなどの数値には直結はしなくても、「これまで起きていた問題、起きておかしくない問題がみょうに起きなくなる」という形で結実しているのがよく見ておくと分かる。じつにシブい。



 開発、営業は好調で、物流部もある程度軌道に乗った。今後は管理部のテコ入れをやっていこうと思う。

 開発部や営業部ががんばっても得られるのは業績という金銭価値がメインだ。だからこそ「ビジネスにおける当社の強み」になっているわけである。

 しかし、開発と営業のおかげで会社はもうかってるけど社員はあんまり幸せそうじゃありません──というのは本末転倒だ。稼いだ金には意味はこもっていない。何にでも交換できるのが金で、だからこそ価値がある。社員の働きかたも管理部によって変えられる。

 従業員の働き方や人生のありかた、上げた収益の使い方を決めることができる。カネの意味を固定し活かすも殺すも管理部しだい。その部署を伸ばすのはひじょうに意義のあることなのだ。

 「管理部を伸ばす」「経理部を成長させる」「我が社の強みは総務にあり」とか言う人はあまりいない。だからこそやるのである。



[2018/05/02 17:56] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

危機感はいらない 

 「社員に危機感がない」というのは経営者に共通のなやみらしいが、おれは危機感なんていらないと思う。

 この国にはたいして危機でもないのにギリギリ感をただよわせている人のほうが圧倒的に多い。ラクに生きればいいのにラクに生きられない。日本人にはそういうタイプがたくさんいる。

 ついには餅つきによる食中毒をさけるため、「搗くための餅と食べる餅は分けましょう」などというアホな指導を保健所が出したりして、無視すりゃいいのにそれに従うドアホが出はじめる。

 戦後の闇市経済とか、もっと物理的に存在することじたいがたいへんだったはずだ。生きるための食い物の調達だけで命がけで列車に鈴なりでしがみついて闇市に買い出しに出かける必要があったのである。犯罪率も高かった。

 目のまえの道端に子どもが餓死して転がっている世の中では「危機感を持て」とは誰も言わなかったはずである。

 世はうつり、日常を生きることは大多数の人にとって平凡事になっている。するとこんどは「長生きするリスク」とか言いだした。どこまでぜいたくなのであろうか。物理的にはラクになっているはずなのに、みずから命を絶つ人もたえない。

 日本人に必要なのは危機感ではなく楽観ではないだろうか。危機ではないのに危機だと勘違いしている例がおおすぎる。

 たとえば自分がいなくなったら会社はおわり、仕事が回らないと思っている人。そんなことはない。仕事は回る。

 もう昔のことで時効だから言うが、ウチの会社ではある日突然経理部の幹部スタッフが会社とは関係のない件で警察に逮捕されてこなくなってしまった。会社のシステムのパスワードとか銀行への振り込み暗証番号とかぜんぶわからなくなった。本人は留置場なので連絡が取れない。それでウチが潰れたかというと潰れていない。そんなもんである。数年前には開発部のリーダーが奄美大島で自転車ツーリング中に転倒して失神、そのまま1カ月入院した。開発部といったってウチは2─3人しかいなかったので大事件だったのだが、たいして何も起きなかった。「こりゃ正味かなりヤバい!」とおもっても案外なんとかなるのである。

 事実以上の危機感など持つ必要はない。危機感をあおってみんな不信や心配のなかでいきているのが今の日本だ。

 必要なのは「事実」の正確な認識だ。危機を誇張せずにそのままのサイズでとらえる能力があればいい。危機のサイズは過小評価しても過大評価してもダメージがある。過小評価すると緊急事態におちいりかねないので過大評価するほうがまだマシだが、それが正しいのは短期的にみた場合だ。過大評価ばかりしていると長期的にはついには臆病な組織ができあがる。

 「あらゆる可能性を検討せよ」などという文句が会社で重役から出はじめたらかなりマズイことになる可能性がある。「あらゆる可能性を検討しました」と部下が言ったらその組織はもうすでにナンマイダの可能性が高い。

 ありもしないこと、ありえてもどっちみち対策できないことをいつまでもやたら心配するのが危機感ではない。幽霊の正体見たり枯れ尾花。ほんとうに幽霊がいるならいくらでもおびえればいい。枯れ尾花が幽霊に化ける可能性はゼロではないとか言い出したら危機感ではなくすでに病気である。

 思い込みをさけ事実をそのままに見る現状認識の力のほうがじつはよほどだいじ。事実(ファクト)を無視した危機感など危険ですらある。その罠にぴったりはまってしまい、みんなで想像力ばかりたくましくしてもがいているのが日本である。


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[2018/04/11 16:47] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

仕事と作業 

 仕事と作業をはっきり仕分けしておきたいと思う。あくまでわたしの定義であり(株)ムサシでの定義である。

 なんでもかでも「仕事」と呼んでしまっては、「仕事で忙しい」といったときの「仕事」がどういう内容なのかはっきりしない。やるべきなのかやるべきでないのかはっきりしないからだ。

 まず仕事とはなにか。どういう業務か。

 過去にない新しい業務。未来にむけて価値を付加する業務。挑戦(つまりリスク)を含み失敗する可能性のある業務のこと。これにあたる人を「仕事を作る人」と呼ぶ。

 新しい挑戦なので型はない。投資活動に近い。やっても直近の業績につながるかどうかは分からないが、やらないとその組織や事業は死んでいく。Googleが社員に業務時間の20%をあてることを許可しているのはこの部分である。

 つぎに作業とはなにか。

 昨日と同じ業務。前例のある業務。今の利益を生む業務。リスクが少なく失敗する可能性の低い業務。ルーチン。これにあたる人は「作業をこなす人」となる。

 作業はすでに型があり、過去の活動が作った価値にのっとるだけなので、できたものをこなしていれば直近の業績は保証される。定番商品を受注して出荷するなどの業務である。



 仕事と作業は、つまりは未来の価値創造と今の利益確保である。

 とはいえ、業務の中身を完全に2種類に分けられるものではない。たとえばルーティン作業の新しいやりかたを試みる、などという相半ばする性質の業務もある。

 英語で企業のことを「enterprise(エンタープライズ)」と呼び、本質的に「商略(商売上のはかりごと)」の意味を含んでいる。「挑戦」や「計略」など価値創造をおろそかにすると事業の飛躍が生まれず、今の日本のように利益確保のための小さな計略しか生まなくなる。

 われわれは作業に没頭しがちだが、利益確保のための日々の業務は省力化できればできるほどよい。そうして省いた労力を、当たるも当たらぬも八卦の価値創造にできるだけ配分するのである。


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[2018/04/11 01:37] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

ムサシ経営者として3年あまりの記録 

 株式会社ムサシの経営者になって3年である。心覚えに、自分が就任してからおこなった活動を記録しておこう。じぶん岡本篤がいなければ実現しなかったであろう項目を挙げる。


【外部協力】
□加古川市との協力(MOD)
□中小機構の専門家派遣を受ける(植田・引野・中尾・中村各氏)
□ダートバイクのプロライダーに販促活動を依頼
□漕艇協議会に資金支援


【新規事業】
□EINSHOPを全店閉店
□EODをMODに変更
□新事業「朝市」をテスト営業('16)
□加古川で朝市を本格的にスタート('17)
□薪の販売を開始


【マーケティング】
すご腕プッシュカットのカードデザインをサル漫画に
□デザイン課を新設
□メディア戦略を強化し「ムサシ」「RITEX」の露出を強化
□新聞・雑誌・テレビに多数取り上げられる(露出はおよそ数十倍)
□タンザニアの「ダルエスサラーム国際商業見本市」に出展
□ドバイの市場調査
□園芸展示会に出展をスタート(以降3年連続)
□フランスのHC状況を視察
□RITEXパッケージの刷新
□グッドデザイン賞を2年連続で受賞
□香港展示会への定期出展開始(以降3回連続)


【物流】
□5S活動を開始
□半期に一度5S発表会を開催
□ビーバー会議(物流)を開始
□改善提案制度を開始
□パレットをサイズ統一し全1600枚入れ替え
□倉庫別・エリア別で役割を決定
□4トントラックを増車
□物流センターを改装
□動線を大きく変更するため物流センターを改装


【仕事と人生のベース作り】
□朝の体操をラジオ体操から合気道体操に変更
□年1回の研修制度を開始
□経営管理者研修に幹部4人を投入
□鍼灸師をMOD現場に入れて社員の身体をいたわる
□初出の料理を生ハム食い放題でにぎわしく
□忘年会を謝恩会(国内日帰り旅行)に
□海外旅行を毎年化
□女性パートの社員登用へ門戸を開く
□女性初の海外出張要員を香港展示会へ
□制服とスーツを廃止、業務服を自由化
□本社2階と3階のワンフロア化
□1人1誌・紙(以上)の購読制度を開始
□禅寺研修に3人を送る
□iPadを営業部全員に導入
□業務用PCとモニターを定期入れ替え
□部活動制度を開始
□社内研修を実行
□年末大掃除を廃止し5S活動に吸収
□0820時の始業を0830時に変更
□「会社の参観日」を開始


【会議刷新】
□アイデアミーティングの刷新
□営業刷新にむけSalesforceを導入
□アフターサービス部の会議をスタート
□幹部会議(昼食ミーティング)をスタート
□営業会議の頻度を隔週に変更
□戦略会議と開発会議を頻度変更
□旅行委員会を設置
□米国市場にかんする講演会(プロドライバー植野氏)
□忘年会の席次を幹部を後方に変更


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[2018/04/10 13:56] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

日々全力では生きません 

 「日々全力で生きてるか?」とビジネス幹部の研修などでよく問われる。「今日を生ききったか?」みたいな言い方がなされる。

 毎日毎日全力で生きるのはアホのすることだ。

 平和だからこそそんなのんきなことを言ってられるのであって、全力を使い切っていたら不測の事件が起きたときになにも対応できない。「変化の時代に対応」とか言って毎日全力で走りまわりたがるひとがいるが、予測不能なほどのとんでもない不測の事態を無視しているからそんなことができるのだ。

 ヒーローきどりでヘロヘロになるまで毎日働き疲れて、いざという時に対応できるわけがない。「毎日全力」という生き方考え方そのものが平和ボケなのだ。まあじっさい平和な現代社会、しかも日本ではしかたないのかもしれない。

 おれは全力を使い切らない。もし使い切る日や疲弊する日がつづいたらそれはかなり危険な徴候なので、いちはやくそういう状態を脱するために努力の方向性を変える。



 「なんとなくヤバい気がする」という感覚は鋭敏なほうがいい。要は勘だ。

 しかし全力を使い切って感覚が摩耗している人間は勘が鈍る。このため「なんとはなしのヤバさ」に感づくことができない。がんばればがんばるほどヤバいことになっていく。

 フリーのジャーナリストをめざして東京に住もうと考えたことがあった。しかし、他のことはガマンできても、あの満員電車だけはどうにもガマンできそうになかった。

 あのヤバさに東京の人は気づいていないのだろうか。いろんなスイッチをオフにしないとあんなものに耐えられるはずがない。あんなものに耐えられるようになったらおしまいだと思ってけっきょく東京には行かなかった。



 つねにマージンを残すのは、冒険家としては当たり前の心得だ。非常に臆病でいらないところで賭けにでない。冒険家は無謀家ではない。

 そんなわけで会社の経営でもわたしはがんばらないことにしている。「そんな悠長なことは言ってられない。世の中厳しいからがんばるのだ」という人はそういう路線を行けばいい。長続きしないか、なにか起きたときにあっさり破綻する。

 世の中正味厳しいと思っているからこそ、むちゃくちゃがんばらない。頑張らずにできてこそ成功である。



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[2018/04/05 03:45] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

人間のいる商売 

 今月はじめ、ある大手の問屋さんの会合に呼ばれて開式のあいさつをした。はやいはなしがご接待にあずかったわけですね。そのごあいさつを以下に採録。

 こんな仕事もやってんですね、って感じで読んでくださったら幸いです。



 みなさんこんばんは、センサーライトを製造販売しております株式会社ムサシの岡本篤ともうします。本日はお招きにあずかり、ほんとうにありがとうございます。

 わたしはまだ社長になりまして3年、前職はじつは新聞記者をやってましてですね、そもそもこういうビジネス関係の交流会というのが昨年初めてだったんですね。

 去年は驚きましたね。サンバでした。赤ちゃんを取り上げるほうのサンバではなくサンバダンサーが会場に出てきまして。ここはいっとかなアカンというわけで、率先して席を立ちましてダンサーのお姉さんと電車ごっこみたいに会場を練り歩いたわけです。

 何事もスピードが大事。一番乗りでお姉さんの肩につながって電車ごっこしましたら、なんと汗が手に付くんですね。20台のお姉さんの汗が手につくのは、ウチのカミさんが20台だった20年前いらいではないでしょうか。

 いやはや手に汗握る体験をほんとうにありがとうございました。なんて言うとりますが。

 昨今の世の中製造直売型のビジネスばかりがもてはやされています。でがベンダーさんとのビジネスのメリットとは何なのか。それは「世の中の多様性」に対応することができることだと思います。

 ここにはたくさんのおじさんがいます。女性も増えてきました。製造直売というのはメーカーとユーザの間にたいていコンピュータが挟まって効率化しておりますが、われわれの場合は人間が挟まっているわけですね。

 コンピュータは酒を飲みませんから、この場に参加することができません。コンピュータは計算は速いわけですが、なぜその計算をしているか「意味」というものがわかりません。その点われわれには圧倒的な強みがある。コンピュータができない商売。つまりは人間にしか思いつけないようなクリエイティブな商売、これをやる必要があります。

 そこでだいじなのはやはり交流ですね。突飛なアイデアを生む交流。双方がいろんなアイデアを出して交わるからこそ、世の中に眠っている多様なビジネスチャンスを見つけることができる。

 きょうの場もそういうたいせつな交流の場として参加させていただきます。

 これからもユーザの満足を専一に考えてがんばってまいりまたいと思います。簡単ではございますが、私からのご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。



[2018/03/21 01:39] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

仕事の本質 

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 (株)ムサシで就労時間の短縮をはじめたのが2年前だ。その翌年から電通の女性社員が自殺したりして残業がやたらニュースになりはじめて驚いた展開になった。

 ウチの場合「残業禁止」とは言わずに、「早く帰って家族といっしょに夕食を食べようデー」という長ったらしいけれどプラスの意味をこめた名前にした。「禁止」というワードは心が浮き立たないし、なんのための就業時間の短縮なのかぼやける。「仕事もおもしろいけれど、人生を楽しむために早く帰ろうぜ」という意思と目的を表現したのである。

 ルールを説明すると1年を3カ月ずつ4期にわけて徐々に早帰りデーをふやしていく。初年度の対象は金曜日だ。花金だし金曜日に早く帰宅すると週末とのつながりがウルワシイのでそうした。1期目(1─3カ月目)は毎月の第1金曜日だけが1730時に強制退社になる。同時刻5分まえになると幹部社員が電灯を消してまわり、PCの電源をおとすよううながしてまわる。

 いちおう強制なのだが、そのために自分の仕事の段取りをくふうし、定時で終わりそうにないときはみんなで協力して実現するのがルールになっている。

 せっかく会社というチームでやっているのだから、組織力を使わない手はない。人間、自分のためにがんばるのはつらいが、他人に頼まれたことは案外がんばりやすいものである。全員の業務がギリギリという状況はありえないない。誰かが忙しいときは誰かの手が空いているものである。

 2期目(4─6カ月目)に入ると第1・第3金曜日が早帰りの対象日になる。3期目(7─9カ月目)は第1・第2・第3金曜日、そして4期目にはすべての金曜日が──というわけだ。こうして1年で金曜日をすべて早帰りにし、翌年からは別の曜日が対象日になる。

 今月で2年目が終わろうとしていて、すべての水曜日と金曜日が早帰りになっている。来月からはあらたに月曜日が対象日だ。1年すれば月・水・金が早帰りデーになる。

 いまのところうまくいっている。成功の理由は「ルール」とか「義務」とか「禁止」とか否定的なワードをつかわないこと、そして従業員どうしで協力をすることが重要だったとおもう。あとは楽しむことだ。楽しくないことなど誰がやるものか。あと、それでも20分くらい居残らざるをえないスタッフが1人くらいいるときは、これはもうやむを得ない状況なのでつきあってやることだ。どうせ20分のはなしなのだから。それくらいの愛敬と許容度はあってもいいだろう。



 2年とははやいもので、いまは世間のニュースは生産性にフォーカスがあてられるようになった。

 仕事とは「依頼と締切」があってはじめて成立するものだというのは、ジャーナリストの日垣隆さんにおしえられたことだ。

 業務時間が長さが問題になっているが、時間にばかりフォーカスしておかしな議論になっているようにしかみえない。そもそも仕事においてだいじなのは業務時間つまり過程ではない。「何をやり終えるか」「何をうみだすか」つまり結果である。

 海外通販でものを買うときに、たとえばアメリカ人とやりとりをすると「ハーイ。今回の注文だけど、あなたの注文した商品はいま青が欠品してるから白でいいかな。ボブ」みたいな感じであっさりと話が始まっていきなりおわる。これが日本の通販だと「岡本様いつもご愛顧ありがとうございます。このたびは数あるショップのなかから当店をお選びいただきありがとうございます。さて、このたびのご注文について……」などとほしくもない意味のない前振りがかならず書いてある。

 これはえらい効率のちがいだ。アメリカ式でいいのだ。白でいいかどうか聞くだけなのだから、客が平素から日々ご清祥であるかどうかとか、ぜんぜん関係ない。

 「結果にコミットする」のはライザップだが、締切までに結果がでればそれでいいのがビジネスなのだ。

 日本には残業問題を論じる以前に根本的な問題があるとおもう。ビジネスにだいじなのは会社に何時間滞在するかではない。「いつまでに何をしあげるか」だ。なのに「会社に何時間滞在するか」を課題にしている人間がいるわけだ。時間で労働者をしばる法律じたいが陳腐化しているのに、その法律にしたがって議論をしているおかしさ。

 根本的に「仕事ってなに?」という共通認識が共有されていないのだ。仕事=アウトプットのことだと思ってる人と仕事=在社時間のことだと思っている人とが同居しているのだ。アウトプット高めようとしている人間と、残業すれば残業手当がついて給料が1.2倍になるから居残りたがっている人間とかいっしょに議論されている。

 大多数のサラリーマンのように1日単位で働いているのであれば

(1)今日の終業までに
(2)何を完了するか

がまず基本になるだろう。時間の使いかたや場所など本質的な問題ではない。結果的に価値を生めば会社の滞在時間が15分でもいいし在宅労働でもいいのである。
 飛躍がゆるされるなら、これは究極的には死という最終〆切までに人生で何をやるかにも直結してくる。死ぬまでに何をしたいか。たんに息をして生きていればいいのか、何をするために生きていくのか。魅力的な人や人生とはおそらく後者であるはずだ。

 とにかくまず日本人はその労働観を「時間つぶし」から「アウトプット」に変更することだ。そこからしかはじまらない。日に日に手遅れの感が強まるばかりだ。




[2018/03/21 01:24] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

(株)ムサシ36期経営方針 

まだ中小企業ですがポスター


【「集中」から「拡大」に移行し人員増へ】

 経営者となって3年あまり、経営にあたってムサシの発展段階を「現人員をベースに現業に集中する」段階ととらえ、基本的に人員増はおこなわず、手薄だった部署や業務にできるだけテコ入れをしてきました。36期からは「拡大」段階とし全方向的にあらたな経営フェーズに突入します。このお話をもって本格的に1000億円への階段を上りはじめる宣言にしたいと考えています。

 現状のムサシは
「ホームセンター用のセンサーライトや園芸用品を製造するメーカー」
という立ち位置でしたが、このすべてにおいて変更をせまっていきます。つまり

業界はホームセンター業界に限らない
製品・サービスはセンサーライトや園芸製品に限らない
業態はファブレス製造業に限らない

ということです。あらゆる意味で現状からの脱皮を進めていきます。ついてはこれまで抑えてきた人員増を解禁し、必要な部署でのリクルート活動を開始してください。

 これまで3年間各部署がまいて育ててきたタネが芽を出しつつあります。そのためにこれまでの人員ではカバーしきれない業務が増えてきている。マーケティングや広報しかり、品質管理しかり、国外営業しかり、システム構築しかり。現状の人員のレベルアップ、能力向上はこれまでどおりはかりながら、外部からの新メンバーを迎え入れてチームの強化をはかります。

 これは部長級・経営者層がおもたる担当者とはなりますが、全従業員が「この人はいいんじゃないか」という人をおすすめてしていただきたい。当社は兵庫県の加古川市という、わりと中途半端な田舎に立地していますので、都市部より圧倒的に人材の獲得が難しい位置にあります。都会にある企業や大手とはちがった方法で人材を獲得していきたいんですね。この点ご協力をよろしくおねがいします。

 この新人の採用と並行して、パート従業員の中からも社員になりたい人はどんどん持ち上がりで社員として仕事をする人を増やします。

 また人事関連では、前期も実行したように、早帰り制度やフレックス出勤制度、在宅勤務制度など、だれでも働きやすく人生を充実しやすい制度をさらに充実させていきます。

 今年は早帰り制度が3日目に突入します。ついに今期の終わりには週の半分以上が定時帰りの日となるわけです。そんなことできるんだろうかと思いつつ導入した制度でしたが、ここまでみなさんのさまざまな工夫で実によく食らいついてくれました。しかも売上げを大幅にあげながら。こんなことができたとは何度考えても感動を覚えます。

 今期1年が終わると、ついに残業なしの日が週の半分を超えます。ぜひとも実現させましょう。



【人事方針 人間の成長を軸とした人事評価制度を作ります】

 従業員の成長を最大の目標として経営をおこないます。

 ちょっと遅れてはいますが、今年1年かけてこの会社の人事評価制度をおおきく刷新します。何をするための人事制度かというと、ひとえに従業員のみなさんの成長です。

 これには人間だれしも死ぬまで成長しつづけることができる。成長していくことは楽しいことだ。そして人間の成長をうながす組織こそがもっとも安定して成長できるという人間・組織観があります。

 ワンマン経営者が牛耳っている組織はワンマンがいなくなればおしまいです。優秀な社員だけを優遇している会社はその社員がいなくなればおしまいだし、優秀な社員以外のモチベーションを下げます。

 優秀な人間とそうではない人間というのはどこへいっても割合がきまっていてだいたい2対8です。これは別に悪いことではなくて世の中そういうものです。しかも仕事といってもいろいろある。突撃営業させたら優秀でも、緻密な企画を立てるのはからきしダメとか。そういうふうにできる2とできない8はちょっとした切り口ですぐ入れかわります。

 別に仕事ではなくてもかけっこをやっても大食い競争をやってもこういう結果になるので気にしないでください。そういうふうに世の中できているということです。アリだってまじめに働いているのは2割だそうですから。

 脱線はさておき、仕事で優秀な2にたよる会社をつくるのはわりと簡単です。2の人間だけ相手にしていればいいし、2だけに給料を優先配分していればいいわけです。きっとがんばってあるていどの業績を確保してくれるでしょう。

 しかし問題がある。そうするとカネだけでつながっている人間関係ができます。リソースの分け前にあずかることのできない8の人間は2の人間をサポートする必要はありません。だんだんやる気がなくなります。

 この会社はそういうふうにしたくないのですね。能力のある人ない人。スピードの遅い人速い人。いろいろな特徴がみんなあります。それぞれがそれぞれのペースで成長していけばいい。それが適材適所に配置され、おおいに協働して全体として成長していく。

 全員がそれぞれのペースで成長しても、けっきょくあいかわらず優秀な2の人が活躍するのは変わりません。それは世の中の法則ですから。しかし2の人が活躍するのを8がサポートするわけです。すると8がよりいっそう活躍できて、会社に利益を残していくようになる。

 こういう会社と社会を作りたいのですよ。

 野球にたとえれば9人の打者のうち2人だけスラッガーがいて2人だけめちゃくちゃ年俸が高い。そういうチームがありますね(ま、巨人です)。ほかの7人はたいしてモチベーションも上がりませんから適当にプレーしています。単なるヘボバッターとして見送り三振をして帰ってくる。スラッガー2人の前に塁に出ておけばいいのに、なんとか四球をえらぶとかそういうことは考えない。

 敵チームに勝つことはできるかもしれませんが、4対3の辛勝といった感じですね。

 そうではなく2人のスラッガーを完璧に活かすチームがあるとする。2人の前では可能なかぎり塁に出て、ピッチャーを研究して盗塁や犠打で1つでも進塁させておこうとする。ランナーがモーションをかけてわずかでもピッチャーのリズムをくずす。そうするとスラッガーは自分たちの能力以上の力を出すことができるわけです。

 つまり敵チームに勝つときに10対3の圧勝を決めることができる。

 わたしが作りたいのはそういう集団でありチームです。エースはどっちみち少なくていいのです。1番から9番までいろいろな個性があるわけです。それぞれの場でそれぞれが成長し、協働すればチームとしての圧倒的な強さに貢献する。

 そういう局面がここ数年のムサシにはすでにあったのではないですか。たとえば営業が勝負の商談を決めてくるときにデザイン課が徹夜にちかい準備をしてわずか1%でも勝率をあげる。5S活動で効率化した物流部門スタッフは、受注した製品を欠品なく遅れずに出荷する。

 そういうことがすでにできかけているのがこのムサシというチームです。これはじつはほかの会社はなかなかできることではありません。この誇るべき社風を、流れに帆をかけてさらに上等なものに作りあげたい。これが人事評価制度が目指すところです。



【健全な経営のための2本柱 カイゼンと長期戦略】

 会社の経営を健全にすすめるためにわたしは2つの条件があると考えています。

 1つめは経営者が正しい戦略を立てること、2つめは従業員が自分の持ち場をカイゼンしつづけることです。

 戦略を立てるのは経営者の仕事です。これからわたしはみなさんを「もっとももうかりやすい場所」に連れて行く責務があります。これを全うしたい。この時代をを読む力が狂っているとどんなに従業員ががんばってももうかりません。これは完全にわたしの責任です。

 日本企業の生産性のひくさが指摘されるのは、安値でしか売れないものをすごい高効率で作っているからです。いきおい長時間労働の傾向がつよくなります。

 職階が上になるほど戦略にたずさわる機会が多くなります。みなさん中にも、これから経営者になる人が出てきます。出てこないといけません。売上1000億円というのはそういうことです。日ごろから時代を読む訓練をしておいてください。

 そういう方向にわたしが連れて行きますから、そこからはみなさんの仕事です。現場を毎日毎時毎分毎秒変え続ける。業務(そして自分と周囲)を変えていく。これがカイゼンです。

 カイゼンというのは過去におこなわれてきたことを「良かれと思う方向に変更すること」です。

 これはあまり難しく考えなくてけっこう。たとえばモノの運搬方法を変更して、かえって効率が悪くなったからまた元の方法に戻したとします。これは2つのカイゼンによる大きな前進、ナイストライです。

 「業務の品質としては前進していないじゃないか」という声もあるかもしれません。元にもどったわけですから。しかし「こういう内容の変更をしたが効果はなかった」という経験知が会社に蓄積される。これはおおきな前進なのです。こういう心がまえで気軽にカイゼン活動に取り組んでください。失敗おおいにけっこう、というより、元に戻せばなんとかなってしまうような見直しのことは「失敗」などと呼ぶ必要すらありません。

 日本人は失敗に異様に厳しい傾向がありますが、ムサシという組織の運営にあたってはそういう傾向はできるだけ排除していきたいと考えています。トライにはエラーの可能性がふくまれます。成功が保証されたものは一種冒険的な内容をふくむ「企業(=エンタープライズ)」のやることではありません。失敗を100%避けようとするのは最大の失敗です。

 とにかくまずはカイゼンカイゼンまたカイゼンです。新しいトライが日常になるまでやりつづけてください。



【本社移転を奇貨として成長のベースをつくる】

 播磨南北道の開通が2021年の春に予定されていますので猶予はあと3年となっています。開通が3年後ですから、当社としては新本社での移転・業務開始を2年をめどとして準備を進めていきます。

 2年後に移転のまえにやっておきたいことがあります。それがセンターでの集中業務なのです。

 このたびの本社移転はさまざまな意味でひじょうにめんどうな話ではあります。しかしチャンスととらえたい。この移転は当社が化けるチャンスにできるかもしれません。

 これからセンターにできるだけ業務の中心を移動させようとしています。過去にわたしが社長に就任するのと前後して2階と3階に分かれていたスタッフをまとめましたが、ご存じのとおりコミュニケーションがスムーズになりました。

 開発・営業・物流・管理そのほかすべての業務を1カ所に集中しておこなうのが移転したあとの本社の姿になりますが、一度手狭であっても従業員を一カ所にあつめ、できるだけ情報やモノの流れを整理した形をつくりたいのです。どれくらい効率的に業務をおこなうことができるかの実験をくりかえしていく。

 そして実験の結果、あたらしい本社とはこういう面積・こういう建屋・こういう設備・こういうコンピュータシステムを採用していくべきだというメドを作りたいのです。

 新しい本社社屋+物流センターは、この世の天国のような場所を作りたい。リモートワークなどが普及して労働のありかたも変わってきましたが、いまだに会社は毎日従業員のみなさんが通い、人生の大半をすごす時間になるわけです。

 その場所は「ああ、こんな場所で仕事ができて幸せだ」という場所にしたいのです。

 その場所はもちろん最小の労力で最高の業務効率を達成できる場所にする必要がある。すなわちもうかりやすい場所です。

 そのための実験を今年から開始します。天国を作るための実験とかんがえて、前例のないアイデアでも採用していきます。たとえばコストコで使っているような売上紙幣を空圧で送る装置。あっちからこっちの事務所へ書類が一瞬で転送できるような仕組みが作れる。これは300万─400万円で導入できることがわかっています。

 ラック倉庫をムサシは昔導入していますが、そのころには先進的な設備だったはずで大きな投資をしたわけです。時代は自動ピッキングのロボット倉庫のようなものが実現されてきている。そういうものも「導入を前提として検討」していきたい。出荷情報を入力さえすれば、24時間態勢でロボットがピッキングして出荷していく。そんな仕組みさえ作れるかもしれません(当社は商品の種類が少なさがメリットですから)

 センターへの移動は「これまでの業務をこれまでどおり進める」ためにはめんどくさいでしょう。しかし前にも書いたように、これはカイゼン的ではありません。センターに移動するのは新しい社屋をつくるためのカイゼンを前もっておこなうためです。

 じつは5S活動やカイゼン活動は本社の社員諸君よりセンターのパートさんたちの方が圧倒的にレベルと頻度が上です。そこのミックスも期待しているんですね。

 従業員全員の知恵を結集し、短期間にあらゆる実験をやりつくし、可能性を検討して新しい社屋に移りたい。それを手伝ってほしいのです。

 みなさんの協力を心よりおねがいします。

 以上、36期以降のあたらしい時代にむけての方針説明とします。ありがとうございました。



[2018/03/14 16:37] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

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[2017/08/17 04:24] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)