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【岡本篤の加古川Watcher 0098】非常時にアホにフォーカスするの愚 

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 岡本篤の加古川Watcher 0098号
 非常時にアホにフォーカスするの愚   2016/04/28

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★ 非常時にアホにフォーカスするの愚
★ 熊本大地震の被災地で考える

 大地震にみまわれた熊本への弾丸ボランティアから帰ってきた。後続のボランティアが入れる拠点づくりと、情報発信をいちおうできるところまでやってきた。

 それにしても、地震発生から2週間がたとうとする今になっても、マスメディアやそれを発信源とするSNSは「アホ」への興味と拡散に余念がない。

 ある避難所がAmazonの「ほしいものリスト」を悪用して避難生活に不要な高級品まで要望したのではないかという疑惑がここのところの話題だ。

 現場で取材したわけではないのでこの段階で真偽を判定する気はないし、ましてや非難する気もない。じつはあまり興味すらない。

 そういうものだからだ。





 思えば地震の一報いらい、たくさんのアホにかんする情報を摂取させられた。

 震災が起きて直後は「現場の邪魔になるアホなボランティア」を止める声が高まり、被災地の情報がだんだん明確になってくるとこんどは被災地に横行する「火事場泥棒や強姦魔」の話が広まる。次いでボロ着や古着を送りつけてくる「非常識な物資提供者」の話になり、いまは「高級物資を所望するアホな被災者」の話になっているというわけだ。

 そういえばこのたびは「『義援金を寄付したことを吹聴するアホな芸能人』を偽善だと非難するアホ」というややこしいのまで登場した。

 また忘れてはいけない。被災地の邪魔になり悲惨な報道ばかりする「アホなメディア」はここのところ継続的に旬な話題である。

 マスメディアさえ叩けば自分は痛まずに正義づらができる。相手の大きさと叩いたあとにSNSから得られる賛同による満足感を比較すると、ひじょうにお買い得な対象だ。





 こうしてみていると、まるで災害が来ると日本がアホで充満するかのようだが、いっぽうで、日本の災害現場は世界一の安全性を誇っている。

 災害が起きると、ある人は被災地をなんとか救おうとし、またある人は自分はボランティア活動や寄付ができなくとも被災地が救われてほしいと願う。PRAY FOR JAPAN. 人々は息を合わせようとする。そのみごとさは日本人の美質といっていい。災害時の現場の混乱の少なさ、たとえば物資や給水の長蛇の列にきちんとならび、いっさいの混乱を起こさないなどという性質は、おそらく大きな人口をもつ国家としてはぶっちぎりの世界一だろう。

 おれはそれを前提にして現場で行動しているし、それでまちがったこともない。

 いや、治安が悪いというイメージの強いフィリピンですら、巨大台風の被災地は基本的にたいへん平和だった。給水に並ぶ人々がやや我がちだったていどである。

 これは聞いた話でしかないが、アメリカ西海岸では乾期に山火事が起きると、遠く離れた街の治安の悪い地区で商店のガラスが割られ略奪が起きるそうだ。なんの脈絡もなくである。ふだんからそれほど社会が鬱憤をためているといっていい。暴発するきっかけはなんでもいいのだ。

 日本ではそんな無茶苦茶なことは起きない。その日本国民が、災害時にはさらに息を合わせようとしているのだ。

「空き巣にあった」
「こんな非常識なボランティアがいた」
「クズ記者がこんな取材を」
「被災者にもバカがいた」

 いったいそれは全体の何パーセントなんだろうか。

 どんな場所にも一定のアホはいる。が、日本人の高い倫理性と従順な性質を考えれば、災害時に「アホ率」はぐっと下がっているとみていい。災害列島に住むものとして理不尽な天災にいずまいをただし、なにか被災地のためにできないものかと謹直な気分になっている人間が増えているはずだ。

 おれはそう見ている。この推測がまちがっていない前提で話を進めよう。





 なのに世間はなぜアホばかり話題にするのか。ひとえに目立つからだ。

 おおぜいの被災者という弱者が避難所に逃げている。あいまに巣くう空き巣というダニ。こういう卑怯者は圧倒的な悪として目立つ。1000人のまともなボランティアのなかにたった1人、アホなボランティアが混じっていると目立つ。アホな記者がまた避難所の前にいる。

 東北の被災地でボランティア活動をしていたとき、あまりにも理不尽な現地の被災者とケンカをしたことがある(口ゲンカね)。どこの集落にも嫌われ者のおっさんとかいるでしょう。そのたぐいだ。堪忍袋の緒が切れたのでむちゃくちゃ怒ってみせたらすごすご逃げた。

 それだけだ。たいした話ではない。

 遠路復興の手伝いにきているボランティアにえらそうに接しアゴで使うそういう被災者はたいへんめずらしいわけだが、別におもしろがって話題にするほどのことではない。

 そんな人間はほとんどいないからである。そういう人間がいることによって東北の価値も下がらないし被災地にボランティアに行く理由もなくならない。それをあげつらっても何がどうなるわけでもなく時間の無駄である。

 そろそろアホの相手はやめたらどうか。メディアも視聴者も。もうちょっとマシなことに時間を使ったらどうだ。





「メディアは悲惨な現場ばかり報道する」

という批判も被災地報道で定番的によくきく。避難所ばかり撮影するとか、ことさらひどい被災地ばかり撮影して救助の邪魔だとか。

 メディアは本質的に普段とちがったものを報道せざるをえない。人間は普通とちがったものに興味を抱くからだ。あなたが「被災地に横行する犯罪」に過剰反応しておもわず「いいね!」「シェア」「全力拡散」「リツイート」したのと同じことである。普通とちがったことに興味をいだき極端に拡大してみるという点では、メディアも一般人のSNSも同列・相似・同じ穴のムジナである。

 それが何を生んでいるかというと、熊本の被災地でやたらに犯罪が横行しているかのような錯覚と、本来は結束するべき人々の疑心暗鬼である。

 元新聞記者として忠告しておこう。やたらと批判されがちなマスメディアの記者たちであるが、かれらは基本的に「事実に反する報道はしてはいけない」という職業訓練を厳しく受けている。しかし「全力拡散」の善良なる一般人は事実の確認などしない。

 震災発生から2週間、それは何にどう役にたったのか。忘れないうちに考えておく時期ではないか。

 93年前の関東大震災では「この災害時に井戸に毒を流している」などの流言飛語にもとづき、日本人は朝鮮人数千人を虐殺した。流言飛語とは早いはなしが「デマ」の「拡散」のことである。

 残念ながらわれわれのSNSには、デマの訂正機能はまだ付いていない。





【週刊─月刊・岡本篤の加古川ワッチャー】
執筆・発行:LumberJacks・岡本篤
okamotoatusi@gmail.com(講読解除・メアド変更はこちらへ)
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[2016/04/28 03:21] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

【岡本篤の加古川Watcher 0094】琴線にふれたカメラ 富士フイルムX-E2 

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 岡本篤の加古川Watcher 0094号
 富士フイルム X-E2       2016/01/20

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★ 琴線にふれたカメラ
★ 富士フイルムX-E2

IMG_9031.jpg

 にわかに熱が再燃してじつに久しぶりにカメラを買った。富士フイルムのX-E2である。

 おかげで昨日は感動することがあった。

 旧知と久しぶりに飲む機会(といってもわたしは茶だけど)があり、加古川駅の近くの鳥幸にいたのだが、タバコを買い忘れたので途中で駅に歩く。そのときにもちろんX-E2を手に提げいったわけだが、うれしさのあまりiPhoneを忘れていったのだ。

 それだけで景色が変わった。何年も忘れていたこのすばらしい爽快感。

IMG_9029.jpg

 往復8分くらいのささやかな散歩だが、このかん、誰かが加工したデジタル情報が電波で飛んでくることがない状態にわたしは置かれた。

 ケータイを持ち忘れるとか、電波が通じないというシチュエーションならこれまでにもたくさんあった。しかしこのときわたしの手には、自分があらゆる指示と操作をするしかないマニュアル式(初めて手に入れたニコンのF3いらい、わたしは絞り優先オート+露出補正が常用)のカメラがあった。レンズもライカM用なので手動フォーカスである。はやい話、撮影用コンピュータのくせに、ぜんぜん自動で仕事をしないのである。しかも設定はなぜかずっと好きなモノクロ。

 このカメラが感動のスイッチを押したらしい。

 誰にも加工や意味づけされていない風景から何かを察知し、見つけて、優秀なメーカーが心をこめて作った機械を物理的に操作し、大量の情報を捨て、切り取る。

 世界の意味を自分で見つけ出すしかないこの状態に、体の芯が震えたらしい。

IMG_9028.jpg



「あなたの問題は誰かがすでに解決している」世界になって久しい。

 以前のわたしは、まちがっていようと合っていようと、問題を自分で解くしかなかった。そしてまちがった回答すら生めずに置き去りにしてきたたくさんの問題たち。

 そんなことをしていたら、30年生きても銀行残高がゼロだったのにはほとほと感動したが。

 あれから幾星霜、そうはなるまいとつねづね心がけてはきたけれど、誰かが見つけた答えを探すことに時間を費やしすぎてきたのではないか。



 この冬いちばんの寒波襲来。びょうびょうと電線を鳴らしながら吹く冬風はジャンパーすら忘れてきた体に冷たかったが、このうえなく気持ちがよかった。





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 ばたばたしているうちに松の内もとうに過ぎましたが、みなさま2016年もよろしくお願いもうしあげます。

 今週末はLumberJacks加古川はじまっていらいの大規模伐採をやります。すでにLumberJacksのFacebookページで参加表明をなさったかたも、そうでないかたも見学にいらしてくださってけっこうです。

 ご興味あればokamotoatusi@gmail.comにお問い合わせください。




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[2016/01/21 13:31] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

【岡本篤の加古川Watcher 0093】シイタケ原木の可能性 

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 岡本篤の加古川Watcher 0093号
 シイタケ原木が里山を変える          2015/11/28

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siitake_ws.jpg

★ シイタケの原木はポテンシャルが高い
★ 薪ストーブや薪割りの根本的な欠点

 いきなり気温が下がりました。

 秋の一大イベントEIN OPEN DEPARTMENT(アイン・オープン・デパート、EOD)が先週の3連休に終わり、ようやく落ち着いて秋を楽しむことができそうです。

 今回のEODは第8回目。すべての回で薪割りワークショップをやってきました。このイベントの前身となるEINSHOPのアウトレット販売会でも2012年に薪割りワークショップをやっていますので、もう10回近くにもなるんですね。

 これまで日本の日本各地で薪割りワークショップを何十回かやってみて、たくさんのことに気づき、それなりにブラッシュアップもしてきました。

 しかしひとつ根本的なところはいつまでたっても改善されないんですね。

 つまりは、薪ストーブを導入したり薪を使う生活を始める人が極端に少ないという事実です。





 薪割りワークショップはどこに持って行っても人気なんですが、薪を使う生活のハードルはいつまでたっても下がりません。じつはハードルは高くないし、そのことを伝えるために薪割りワークショップをやっているわけです。しかし、現代日本人の生活スタイルと能力が、あまりに薪を使うのに適していないということがまず大前提として立ちはだかっています。

・ストーブ自体の価格が高い(と思い込んでいる)。
・肉体労働がニガテすぎ。
・都会の狭い家やマンションに好んで住む。
・壁に穴ひとつ開けられない不自由な脳みそ。
・火=危険という安全志向。
・スイッチポンの生活に慣れすぎ。
・ファジーなものを扱えないデジタル思考。
・虫がやだ。
・妻がガタガタうるさくて。

 いくらでも挙げられますが、物理的制約や時間的制約などより、ずっと高いハードルは日本人の「思考回路」ですね。じっさいにやってみればいかに簡単で、LumberJacksのメンバーがいかに楽々と薪を手に入れている事実があろうと、安価なストーブが手に入ろうと、信じないならどうしようもありません。

 イベント的な薪割りには10人中1人くらいが来たがるけれど、ストーブを焚く生活の実現にむけて実際に行動を開始する人は……そのうちの100人に1人くらいかな。つまり1000人に1人。日本全国に10万人くらいの需要しかない。

 LumberJacksなんてめんどくさい会(笑)を立ち上げて薪割りを人に教えようとする人はまだ日本でも俺だけかもしれません。1億人に1人。競合皆無の完全なるブルーオーシャンといいたいところですが、オーシャンじゃないね。「ブルーため池」どころか「水たまり」くらいのサイズ感だ。

 でもま、だからこそCMへの出演なんて仕事が来たりもするんだけどね。なつかしいな。







 最近EODの薪割りワークショップでは、丸太の早切り競争をやったりパチンコ作りをやったり箸を削ったりと工作教室もやってみています。同じことを複数回やるのが極端にニガテなので、毎回ちょっとした工夫を加えたいんですね。

 今回人気だったのがシイタケの原木作りでした。春にやってみたところそれほど人気がなかった。そこで今回は原木を50本くらいしか作らなかったのですが、秋だったのもあってか、あっというまに売り切れてしまった。

 イベントに通う道々考えていたんですが、シイタケの原木というのは現代日本人と里山をつなぐツールとして薪よりずっと可能性が大きいかもしれない。

 というのも、シイタケの栽培ってほとんど手がかからないんですよ。おれはめんどくさがりだしアマノジャクなので、今はやりの農業はぜんぜんやる気がないんですが、シイタケだけは3─4年続いています。

 なにせやたら簡単。丸太にドリルで穴を開けて「種駒」というシイタケの菌糸が付いた木の栓(ホームセンターの農業資材コーナーでひっそりと売ってます)をコンコンと打ち込んだら準備終わり。庭の木かげに基本的にほとんど放置プレーで、1年半したらシイタケがいきなり出てくる。

 カラカラに乾燥させてしまうと菌の成長が止まるので、マンションやアパートなど集合住宅では難しいですが、地面がある家ならたいていどこでも栽培できるでしょう。基本的に日陰に置いておくだけですから。

 いったん出だしたら数年間、原木が大きいほど長い期間収穫できます。春と秋になったら突如として樹皮を突き破って小さなキノコがあらわれ、それからしばらく毎日どんどん出てくる。朝には小さかったシイタケが夕方には大きな傘を開いていたりしておもしろいもんです。ウチの庭には原木が10本くらいありますが、季節になると食い切れないくらい収穫がある。弁当もシイタケばっかり。

 原木シイタケって高いんですよね。スーパーの野菜売場に行くと、菌床シイタケの倍くらいするんじゃないかな。高いからあまり売れないんでしょうね。そもそも原木シイタケが売ってないスーパーも多い。それがほとんど放置でタダで大量に手に入るんです。トクした感がすごい。





 そもそも思えば、田舎に行くと昔はどこの家にもかならずシイタケの原木が何本かは勝手口の近くにおいてあったような気がします。それほど身近な生活道具だった。

 そういえばわたしの祖父母の家にもありましたね。ごくごくふつうの庭風景として、じつはシイタケの原木というのはかつて日本中に設置されていた。なぜ目立たなかったのかというと、設置されるのが必ず日陰だから。家の玄関や日当たりのいい庭には置かないわけです。北側のお勝手まわりや木の下など目立たないところが定位置です。

 平凡社の『世界大百科事典』によると、シイタケの種駒栽培が考案されたのは1935年。そして42年にはホームセンターでよく見るシイタケ種駒のメーカー森産業を創業した森喜作氏が種駒を使う栽培法を確立したようです。

 それから20年すると日本は高度経済成長に突入し、田舎から都会に若者たちが出ていってしまいます。日本人の圧倒的多数が都会に在住して会社勤めをするようになり、せっかく森氏が作った種駒栽培法も田舎で普及するのみに終わり、いまは老人が趣味的にやるだけになっている。

 じつは街中でも簡単に栽培できるのにやっていないというわけです。これ、だれも気づいてないんじゃないか。

 さらに知られていない裏技もあって、シイタケの種駒は植菌してから収穫まで通常は1年半もかかってしまうのですが、じつはプロが使っている種菌には半年で収穫できるものがあります。これを使えばせっかちな現代人にも栽培のハードルはさらに圧倒的に下がる。春に設置したほだ木から秋にはもう最初の収穫ができるわけですから。





 いかに猫の額ほどの小さな庭でも、シイタケのほだ木を5─10本くらい立てても邪魔にはなりません。それで毎シーズン自家栽培のキノコが楽しんでもらって、里山から収穫した丸太を消費してもらう。薪ストーブのような手間も初期投資もいりません。

 地味ですが、薪なんかよりずっと普及させられるポテンシャルが高いのです。なんなら、昔よく住宅地を回っていた竿竹屋みたいに、軽トラにほだ木を山盛りにして売り歩くなんて商売が成立する可能性もあるんじゃないか。

 そんなわけで、今シーズンはちょっとシイタケの原木に注目してみようかと。晩秋から初冬がいちばん伐採の適期だそうですので、年末にかけてさっそく近隣のナラ山を探しに行ってきます。





【週刊─月刊・岡本篤の加古川ワッチャー】
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[2015/11/28 03:45] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

【岡本篤の加古川Watcher 0092】浪費と消費 

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 岡本篤の加古川Watcher 0092号
 浪費と消費・カワウソ調査現地より         2015/10/29

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★ 浪費と消費
★ カワウソ調査現地より

 韓国・慶尚南道の山中にいつものカワウソ調査に来ている。早いものでもう足かけ15年になった。

 明後日には帰国のため調査現地を出発するので、29日は午後から川原や山で仕掛けカメラの新設・移動・再設置作業を始めた。自家用車で関釜フェリーに乗って調査地まで乗り付け、お寺に投宿しながら山野や川原を歩き回って6日間の調査を続けるのが最近のスタイル。

 川原にいると日本から電話がかかってきてこまぎれに仕事。緊急退職とか原稿確認とか。肩に挟んだiPhoneは落とすと自動的に水没または岩の間に消滅するので緊張感がある。

IMG_7277.jpg

 韓国の川に設置している動物撮影用の仕掛けカメラは「リチウム乾電池」というちょっとめずらしいタイプの単三電池を12本も使う。アルカリ単3電池はホームセンターで10本セット300円とかで売っているが、この電池は1本で200円。それを1台あたり12本も飲み込む。半年後に再訪したら残量が残っていても問答無用で交換だ。大陸の低温下で野ざらしのまま半年持たせないといけないのでしかたない。

 1回の調査で200本くらい使うので、電池だけで年間80000円。カメラの数を増やしているので年々増額傾向である。

 単3電池に80000円とか、普通の神経だと信じられないかもしれない。

 しかし、この浪費には目的があって限界がある。目的はカワウソの生態を解明することであって、限界としては、たとえば100台もカメラを設置することはできない。画像の回収と閲覧・分析にも時間がかかるので、そんな大量設置は物理的・人員的に不可能なのだ。いま現地に設置しているのは14台だが、20台を超えるともはや限界が見えてくるだろう。



 わたしのやっているカワウソの調査やダートバイクのレースは「ぜいたくな遊び」と映るかもしれないが、あんがい使える金額の限界など低いものだ。

 昨年ヤマハのYZ250Fというモトクロス用のレースバイクを買ったが、このバイクはとうていわたしが使いこなせないくらいの能力を持っている。(わかるかな……バイクの能力を自分がいっしょうけんめい邪魔しているこのツラい感じ)

 とくに女性に多いが、「金食い虫」という名前でバイクやクルマ趣味を断じる向きがある。が、じつは使う金の限界などしれたものだ。

 いろいろな修理や部品交換、タイヤやオイルなどの消耗品、チューンナップに金を使ったとしてもひと月3万─5万円ていどのものだろう。それ以上に金を使うなら新しいバイクでも入手するしかないが、バイクが2台あろうと10台あろうと体はひとつしかない。乗れる時間も限られている。強いライダーになってレースで勝つためにはやるべきことはたいへんシンプルだ。耐久力やライディングスキル、整備能力を上げることである。バイクを買い集めることではない。

 だからそうじてたいして金はかからない。

 「いやいや、月にゴマンエンも!」という人は、すまないがチンケな人生だと言わせてもらう。500円が5万円とか、そういう話をしているのではない。500万円や5000万円かかるわけではないという話をしているのだ。

 それくらいは金は目的があれば稼ぐべきだ。目的がないから、金額ばかりに目が行く。死んだ5000万円より生きた5万円ではないか。

 「20万円以下の道具は大人の男の道具でない」と誰かが言った。金のないころから無理をしていろいろ使ってみてたしかにそうだと思う。

 万年筆はモンブランのマイスターシュテュック149を25歳のときに血の出る思いで6万円ちょっと出して加古川駅前のそごうで買った。これまでの人生で6─7本の万年筆を手に入れたが、このモンブランを森山さんという東京大井町の万年筆職人にわたしの書きぐせに合わせて手研ぎしてもらったのをしおにだんだんと買わなくなった。あれ以上を求めてもしかたないのだ。つまり万年筆の場合、一生ものを手に入れる限界は10万円以下でしかなかった。



 ことほどさように「目的を持った浪費」は、いくらつとめても限界がある。かわいいものだ。早い話、いきなり5億円もらってもカワウソの生態が分かるわけではないので、くれるといってもいらないのである。

 いや、いるけど。もらっても使えないって話です。



 「目的を持った浪費」の逆は何か。「消費」だ。広告屋のマーケティングにだまされて、5万円払って修理すれば使えるクルマを200万円払って買い換える。安い借家があるのに長期間のローンでいりもしない家を買う。新しい服やバッグを毎シーズン買う。これが新しいライフスタイル(これほど嫌味ったらしい言葉もまたない)だといわれればそんなふうな雑貨を買いあさる。

 これはバッグや生活(ライフ)そのものではなく、ブランドやライフスタイルという記号を「消費」しているだけだ。浪費とちがって消費は永久に終わらない。次から次へと自分のほしいものを探し続ける。

 そういう人はほしいものはぜったい見つからない。電通や博報堂の会議室にあるのだから。

「旦那さんは電通のエリート社員で、わたしの趣味はバッグのコレクションなの」

 ご苦労様です。



 わたしの人生には目的がいくつかあるから、家は買わない。今の築45年ボロ屋にすきまテープを張っていれば充分だ。泥棒が入っても中にあるのはキャンプ道具や本みたいなロクでもないものばかりだから、あまりカギもかけずにすんでいる。

 目的があれば持っている金の多寡など意味はない。使える分だけ使い切るだけだし、金が少なくなればそれなりに使うだけだ。

 というわけで、ボロ屋に住んでいるわたしは明日も韓国の山に高価な電池をまき散らしに行くが、ガタガタ言うことは禁ずる。





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[2015/10/30 00:29] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

生活に危険と死を【岡本篤の加古川Watcher 0071】 

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 岡本篤の加古川Watcher 0071号
 生活に危険と死を                2015/02/05

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★ 生活に危険と死を持ち込む
★ 「生きがい」の作り方

 LumberJacks加古川を通じてみんなにわたしが薦めてきた活動には、ひとつの共通点があります。ざっとならべるとこんなところですが……

・薪割り
・林内伐木作業
・ダートバイク
・カヌーツーリング
・サーフィン
・川での潜水
・野生動物調査(カワウソね)
・合気道

つまりは

「ぜんぶ危ない」

んですね。やるとケガをする可能性がかなりあるし、「死のにおい」がするものすらあります。

 たとえば「みんなで林業やろうぜ」みたいなことをしょっちゅう言っていますが、残念ながら林業はあらゆる産業のなかで重傷・死亡の確率がぶっちぎりで高い。

 それに比べれば薪割りなんかは安全な部類ですが、足の指を切り飛ばす可能性だってじゅうぶんあります。実際にこれまでわたしが知るだけでも薪割り中に足の甲を切った人が複数いるし、何針も縫ったランバージャックス加古川のメンバーもある。わたし自身も過去にスニーカーの指先を切り裂いたこともありますしね。

 薪も斧も尖っているうえに重いので、コロコロっと転がった割木がスネに「コン」と当たって、打ち所の悪さに数分間絶句したことも何度もありました。

 キャンプにしてもそう。わたしの薦める野営は整備されたキャンプ場ではなく誰もいない川原でするわけですから、突然の出水にはかなり気をつかいます。じっさい2012年の夏のキャンプは、テントが水にさらわれかけて早朝に撤収することになった。

 また韓国のカワウソ調査は落ちたら大けがしかねない崖にも登りますし、腰まで水に使って渡渉したりもする。川に入るときはウエーダー(早い話が腰まである長靴)を履くんですが、じつはこれにガバッと水が入ったらじつはかなり危険。泳げないからね。扱いに慣れていないと死んじゃいます。

 なぜ好きこのんでこんな活動ばかり選ぶのか。わたしの個人的性癖なんでしょう。しかしおもしろいのは、こういう活動に人を招待するとたいへん喜ばれるのですね。





 どうやら人間は危険な活動をすると元気になるのです。

 現代人の大半は石の沙漠みたいな都会に住み、どんどんマネーゲームに近づいていくビジネスをなりわいにしています。そうすると「生きてる実感」とか「生きがい」がどんどん失われていく。

 なぜなら、死のにおいがしないからです。死ぬ可能性が限りなくゼロなところで生きていると、人間の中の動物が死んでしまう。

 死の可能性が高まるほど、生は輝きます。「生きててよかった」と心から思える。単純なことです。

 しかし現代社会では死ぬ可能性はありません。いや、死ぬ自由がないといってもいいでしょう。人間は死ぬ可能性から逃れるためにいろんな社会装置を作ってきて、最後に手に入れたのが「危険に挑む自由もない」という究極の不自由だったというわけです。





 自分の人生が輝いていないと思ったら、死ぬ可能性のあることをやってみてください。極端な言い方ではありますけれど。

 きょうは木曜日なので、夜にランバージャックス合気道部のお稽古日でした。

 合気道はぜんぶ型稽古で、やってみるとぜんぜん危ないようには思えません。痛くもなんともありません(受け身に失敗すると痛いけど)し。しかし、稽古はじつはすべて殺し合いを模した型稽古。前提がひじょうに危険です。

 眉見を手刀で打つ「正面打ち」という型稽古があるのですが、このときにちゃんと相手の眉間を割り込んで必殺のつもりで切り込まないと型がひじょうにやりにくくなってしまいます。というより稽古が成立しない。そういうものです。

 ですから道場では何が起きてもおかしくないという前提で稽古をします。わたしは過去にかなりハードに柔道をやっていたこともあるのですが、合気道の稽古が終わったあとの爽快感は柔道をやりこんでいたころを圧倒しています。

 おそらく「きょうも生きててよかった」と体が言っているのでしょう。





 末筆ですが、今週土曜日(2月7日)に摩耶山にストーブを導入するイベントで薪割りワークショップをやります。

 神戸の街に住む人たちが、荒れ放題になっている六甲山地の森林を自分たちで整備する。そして生産物を薪として有効活用しながら街と山を直接つなぎます。都市生活の一部に林業が入ってくるという、日本でも稀有な仕組みを作るための第一歩です。

 成功したあかつきには、神戸は日常的に斧を持った人がウロウロしているという素敵な街になります。

 六甲山を自分の体で変えていこうというメンバーを待っています。ピンときたあなたの人生はたぶん大きく変わります。


薪ストー部誕生祭!
http://goo.gl/forms/xUPBQ3XMfI





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湯たんぽをもっと使おう【岡本篤の加古川Watcher 0070号】 

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 岡本篤の加古川Watcher 0070号
 湯たんぽをもっと使おう              2015/01/22

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★ 寒い日は湯たんぽの話でもしますか
★ 身近でつぶしの効く蓄熱装置

 きょうは冬にめずらしく冷たい大雨。薪ストーブユーザのみなさん、薪の湿り具合はいかがおすごしでしょうか。

 薪ストーブを使い始めると、こんなに便利なものはないと感じるのが湯たんぽです。そう、ブリキ製の湯たんぽ。ホームセンターなんかで売ってますよね。水を投入してストーブでガンガンに温め、寝る少し前に布団に放り込んでおくと、極楽感がハンパではありません。

 最近は湯たんぽもオシャレなものや小さなものなどいろいろ販売されるようになりました。「エコ」がはやってますからね。

 わたしは「エコロジー(生態学)」や「エコノミー(経済学)」には興味があるというより専門分野ですが、いわゆる「エコ」にはまったく興味はありません。意味が不明確だし。

 湯たんぽはたんにひじょうに便利だから使ってるのです。





 薪ストーブは、エネルギー量が少なく品質も不安定な燃料を使いながら、いかに安定して長時間熱を出し続けるかということに力点を置いて開発されています。

 安いストーブはパッと燃えてパッと冷めちゃいますが、高価なストーブはじっくり安定して高温を出し続けます。

 この熱を有効に使いたいのですが、空気じたいを暖めるエアコンにたいしてストーブの弱点はというと、家の中の温度がかたよりがちになる。ストーブのある部屋は暖かいけれど、ほかに寒い部屋ができてしまう。とくにウチのような築40年のオンボロ住宅はそうなりやすいし、古民家なんかすきま風がひどい。

 そこで湯たんぽです。

 はやい話が、湯たんぽはひじょうに簡易な移動式蓄熱装置です。ストーブが常に燃えている家では、ぜひともバカでかいヤカンを買ってください。ウチでは笑えるくらいでかい10リットルのヤカンを使っています。野球部のマネージャが麦茶入れて提げているようなやつね。

 でかさにひるんで5リットルくらいのを選んではいけません。大きければ大きいほどよろしい。

 なぜならヤカンとしてではなく「熱のダム」として使うのですから。常時大量の湯を沸かしておくのは、つまりは熱を水に移動させて熱の貯水池を作るわけです。それを湯たんぽに入れて布団のなか、冷えた朝イチの自動車の膝掛けの中などに持っていってください。(温度は調節してね)





 さらに、湯たんぽというのは別にブリキの湯たんぽでなくてもいいのですよ。もっと柔軟に考えてみましょう。たとえばペットボトルでもいいし、登山用のアルミの水筒でもいい。たとえばウイスキーのポケットボトルみたいな小さな瓶に湯を入れて、履きおわったブーツの中に放り込んでおけば乾燥機にもなります。

 コーヒーを入れ料理や焼き芋をするだけじゃなく、湯たんぽで作る移動式の熱のダム。ぜひ使ってみてください。

 東日本震災のボランティアで訪ねた3月の南三陸町で、被災者のおばちゃんが避難所の夜に持たせてくれたペットボトル湯たんぽの暖かさが、わたしは忘れられません。





【週刊─月刊・岡本篤の加古川ワッチャー】
執筆・発行:LumberJacks加古川・岡本篤
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[2015/01/22 15:57] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

コミュニティ作りの要諦【岡本篤の加古川Watcher 0069】 

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 岡本篤の加古川Watcher 0069号
 コミュニティ作りの要諦            2015/01/15

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★ えらい遅めの年始のご挨拶
★ ランバージャックスそろそろ3年目に

 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

 ことしもみなさまどうぞLumberjacks加古川と各地のグループをよろしくお願いいたします。

 3月になると、2012年に立ち上げたLumberjacks加古川がまる3年を迎えます。

 当初は「供給が足りていない薪を売ろう」という活動をかなり重視していたのがLumberjacks加古川でした。

 いまの日本では薪が自宅の近所で売っているところなどまずありません。薪ストーブを普及させようとしても、燃料を自分で作るバイタリティのある人・もしくは購入する資金力のある人以外は実質選択肢にも入ってこないのが薪ストーブです。

 薪ストーブは売ってるのに薪が売っていないというのは、クルマは売ってるのにガソリンスタンドがないようなものです。ならば、薪という燃料をもっと販売することが薪燃料のストーブを普及させる突破口になるのではないか。

──最初はそんな活動をもくろんでいました。

 ですが、薪の生産に適した場所というのはやはり山間部です。都市部への送料がかかってしまうとはいえ、山から木を切り出して運んでくる手間が圧倒的に減らせる。大規模な山林所有者もあちこちの田舎にいる。

 薪を積み上げておく土地にかんしても、広く使える田舎のほうが圧倒的に有利です。しかも薪というのは簡単な機械があればガンガン作れてしまう。「あ、やめとこう」と思うたのが一昨年あたりでした。ビジネスで潜在顧客という言葉がありますが、薪の販売は「潜在競合」がたくさんいるんですね。しかもかなり強敵だ。



 そんなわけで、薪の販売に力を入れるという活動はそれほど力を入れなくなってきています。それより現在重視するようになっているのは

「薪を作れる人を増やす」

ことです。これは競合がかなり少ないというか、いない。そんなめんどくさいこと誰もやりません。そこであえて薪割りワークショップばかりやったりしています。安全で効率的な薪割りを教える技術を集団で持っている団体というのはおそらく他にないでしょう。

 めんどうに思える薪作り作業ですが、いったん慣れてしまえば原木の調達も割り作業もさほどの労力を要するわけではありません。生活の一環になってしまいます。しかもその作業じたいがたいへん楽しい。

 なんでもかんでもカネで買う人間ばかりになってしまった現代において、燃料を作るというのは原始的でひじょうに魅力的な活動です。言ってみれば燃料のDIY(Do It Yourself)。肉体労働をしてお金を経由せずに直接燃料を手に入れるのは、労働の楽しみの根源的なところをくすぐるようです。

 2014年は東京の渋谷のビル街で2回も薪割りワークショップをやったりして、すばらしい経験を積むことができました。

 今年もあちこちで続けていきます。どこかでみなさんにお目にかかれれば幸いです。



 ところで松の内も終わったとはいえ年始です。今回はちょっと趣向を変えて、ランバージャックスについてよく尋ねられる「コミュニティの作り方・運営のしかた」のコツをちょっとご開帳してみましょう。

 2014年の1年間にLumberJacks加古川の本社を訪ねた人の総数(のべ人数)は、1000人を超えたようです。「本社」とか言ってますが、はやい話がたんなるわたしの自宅です。1000人もやってくるのはかなりの騒ぎです。

 そういう人の集まってくる場所に必要なものは何か。

 LumberJacks加古川を3年弱やってきて、いちばんだいじだと感じているのは「場所を整えること」です。

 LumberJacksを始めたのは確かにわたしだし、数え切れない大中小のイベントをやっています。日々の飲み会(飲めないのに)やダートバイク練習(イベントなのか?)などまで入れると相当な数だ。しかし、あるていど人数が増えるいろんな活動や情報やモノの交換が勝手にはじまります。

 人の自宅で(笑)。

 そんな段階でだいじだったのはいろんなモノや活動が流動しやすい状態を作ることのようです。

 つまりは広めの土地であるとか、ふらっと立ち寄ったらいつでも薪割りができるとか、バイクの整備がいつでもできるとか、いつ行ってもたいして気を遣わなくてすむ「適度な散らかりぐあい」だとか(笑)。そうやって人が集まるようになると、たくさん採れた野菜を持ち込んだらいろんな人に回っていくとか、また別の流れが新たに発生する。

 つまりはそういう「流れ」を作ることです。まちがっちゃいけないのは、場所そのものをキレイに立派に整えることじゃないということ。モノや情報の流れを整える。いや、整えるというと語弊があるかもしれない。つまりは流れやすくする。



 20世紀後半の日本人は、流れを作るよりモノやカネをストックすることばかりに力を注いできました。きれいな持ち家を作り、クルマを買い、モノを買い込む。そうした核家族で子供が巣立ったら最後。誰も来ない。

 かつて世界30カ国の一般家庭の家財道具をぜんぶ家の前に出して写真を撮影した『地球家族』という名写真集がありました。その日本代表の自宅がこちら。

『地球家族』のウキタさん家
http://bit.ly/151NDuu

 日本の家ってこういうイメージです。これじゃ誰も来ないよね。



 今年もそんなあけっぴろげな感じでLumberJacks加古川をやっていきますので、まあコーヒーでも飲みにいつでも寄ってください。待ってます。いや、待ってないかもしれませんが遠慮せずどうぞ。





★ クロネコと佐川はセコムより役に立つ
★ 我が家の最強防犯装置

 LumberJacks加古川をやりはじめて半年くらいしたころでしたか。家族で外出して帰ってきたら、庭でLumberJacks加古川のメンバーが勝手に焼き肉パーティをしていたことがありました。

 笑えたねあれは。ウチだぞここわ。

 最近はようやく塀や垣根のない家も増えましたが、ウチには塀というものがほとんどありません。泥棒が喜びそうなバイクが何台もゴロゴロしていたりするのですが、ロックもかかっておらず時にはカギすら刺さっていたりしても盗まれたことはありません。

 あんまり開けっぴろげだと泥棒に入りにくいのでしょうね。

 ちなみに敷地はクロネコやサガワの運ちゃんに解放しています。ウチの裏手の細い路地への配達はトラックだと苦労が多いので「通っていいよ」と言ったのが始まり。今では我が家の庭を彼らが1日に何度も横断していきます。

 彼らはもちろん「すんませんねぇ」などと遠慮しながら通っていくのですが、じつは自分たちがウチの防犯担当にさせられていることを知りません。今では「ぜひ通れ、どんどん通れ」と言っています。

 自分が泥棒になった気で考えても、ふいに誰が来るか分からない家ほど狙いにくいものはないと思う。1日にヘタをすると3回も巡回に来てくれる配送業者のみなさんにはほんとうにカネを払ってもいいくらいだ。

 セコムなんて、泥棒が仕事をし終わったころにやってくるだけです。クロネコと佐川に防犯はまかせましょう。





 ちょっと間が開きましたので、メルマガちょっと多めでしばらくお届けします。お楽しみに。





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[2015/01/16 16:31] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

【岡本篤の加古川Watcher 0067】ダートバイクが流行るわけ 

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 岡本篤の加古川Watcher 0067号          2014/12/18
 ダートバイクが流行る(かもしれない)わけ

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★ ダートバイクが流行る(かもしれない)わけ
★ モノにふりまわされない世界

 じつはバイクネタ、なかでもダートバイクというのは、メルマガのネタとしてかなりの鬼門であります。

 そもそも女性がほとんど興味をしめさない。「バイク」という単語を書き付けた瞬間に、筆者は人類の半分を読者対象として捨てたといっても過言ではありません。女性のダートバイク人口はカーリング人口よりずっと少ないでしょう。

 女性だけではない。Facebookで子供の写真を載せるといいね!が100付くのに、バイクネタの場合はかなりいい写真でも10くらいだったりします。

 おそらくね、オシャレじゃないからだと思います。まぁたしかにダサい男が多い……かもしれないな。

 オシャレな薪割り団体を標榜するLumberJacksは、ダートバイクもオシャレにやっていきますので、3秒であきらめずにちょっとつきあってくださいね。







 14日の日曜日は今年最後のエンデューロレースを観戦に行ってきました。

 薪割り結社LumberJacks加古川にはダートバイク部があります。今年からいくつかのレースに参戦しました。モータースポーツというのはやたらに金がかかるものですが、ダートバイクというのはいちばん敷居も低い。

 市販の街乗りバイクでもウインカーに飛散防止のテープを巻くだけで参加できます。ライセンスもいりません。ライセンスどころか、公道を走るわけじゃないので運転免許すらいらない。

 今回のレースはLumberJacks加古川のメンバー4人が出場。大阪の河内長野市にあるレース場「プラザ阪下」でJNCCが主催する40分と90分のエンデューロレースに出てきました。

 じつはわたしもエントリーしていたのですが、2週間前に練習中に指を骨折したので今回は断念。

 ダートバイクのレースには何種類かあって、モトクロスは短時間レース、エンデューロは長時間レースです。いちおう競走ではあるものの、最大の目標は「完走すること」です。何度か転倒はしたようですが、4人とも完走して帰ってきました。おめでとう!

 中にはクラス優勝したメンバーもいて、優勝楯をもらってお立ち台で観客にむけてシャンパンの栓を放ちました。なかなかできない経験ですよね。クラスの出走が2人だったのはあえて黙っておきますが、ま、そういう世界です。





 まだあまり人気はありませんが、なにせむちゃくちゃおもしろい。

 じつはヨーロッパでは、ダートバイクはかなり人気のスポーツになりつつあります。レッドブルというカフェイン飲料がありますよね。あの会社がモータースポーツを後押ししたこともあって、いろんなタイプのダートレースが開催されるようになりました。参加者も増えているようです。アメリカではもともとたいへん人気のあるスポーツです。

 そして日本でも、数年前よりは参加者がじわじわ増えてきている。そういう気配がします。かすかに。ですが着実に。

 断言しますが、これからダートバイクは流行ると思います。それは薪割りが人気なのと同じ理由です。





 言ってみれば、ダートバイクの楽しさは体験の楽しさなんですね。バイクを所有する楽しさではなく。

 オンロードのバイク、公道を走るバイクというのは、どうみても「バイク自体」と「オシャレ」が中心です。革のツナギでキメてみたりね。みんなとツーリングに行ったり、体験の楽しさもあるでしょう。しかし楽しみの総量のうち「バイクを所有すること」「バイクを愛でること」がまだかなり強い。

 一方でダートバイクというのは体験が中心。というか、それしかない。

 ダートを走るバイクってむちゃくちゃ切ない存在なんですよ。新車を買っても、走った初日で転倒したり土をあびたりして傷だらけになっちゃうんです。

 ピカピカにクルマを磨き上げたり、新築の住宅が1日住んだだけで中古価格になったりする日本では、かなりめずらしい世界かもしれません。

 モノには重きを置かず、バイクを使ってどれだけ楽しむか、自分の力量を上げるか。そこに重点がある。





 薪割りだってそうでしょ。体験のおもしろさです。薪を作って焚くことによって、爽快感があったり美味しい食事が味わえたり友達の輪ができたりする。薪ストーブや斧を持ってることがえらいんじゃありません。

 同じこと。バイクの楽しむなら、本質はダートバイクです。

 バランス競技というのは2本足で立っている人間にとって抗いがたい魅力を持っているようです。石がゴロゴロした場所を2輪で走るバイクはその最たるもの。

 もし稀有にも楽しむ機会があったら、ぜひとも逃がさずにトライしてみてください。





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[2014/12/19 03:18] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

【岡本篤の加古川Watcher 0066】斧の選び方(3) 

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 岡本篤の加古川Watcher 0066号          2014/12/11
 斧の選び方(3)

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★ けっきょく1本ではぜんぶに対応できんのだ
★ 斧の選び方(3)

 3回にわたった斧の選び方の最終回です。

 薪割りワークショップをあちこちで開催していると、わけ知り顔のおっさんが現れ、「この斧は薄くていかん」とかなんとかいろいろ頼みもしないのにおしえてくれます。

 おおきなお世話ですね(笑)。せっかく気に入って使ってるのに。こういうめんどくさいおっさんは話半分で聞いておきましょう。

 そもそも、おっさんが割っている丸太とみなさんが割っている丸太とでは、樹種もサイズも長さもねじれ度合いもぜんぶ違うはずなのです。

 厳密にいえば、いや、あたりまえのことですが、同じ木から切り取った丸太でも1本1本ぜんぶ違う。節や枝が1つあるだけで同じ木でもまったく違う様相の丸太になり割りやすさもぜんぜん違う。立木から丸太を切り出した経験のある人ならすぐに分かるでしょう。

 それを無視して「この斧は割りやすい」「これはダメ」などというのはあまりに短絡的です。向き・不向きがあるのです。





 日本の田舎で手に入りやすいのは圧倒的にスギやヒノキ、なかでもスギがとても多い。中山間地なら、スギの間伐材ならいくらでも手に入るというところもおおいでしょう。

 スギはとても割りやすい木ですから、大きくて重い斧を振り回しても労力の損というものです。ぜひともヘッド部分が軽くて薄いものを使ってみてください。作業効率が圧倒的に上がります。体も疲れない。

 軽いのはわかりやすいでしょうが、薄いのが案外大事なのです。

 割りやすい丸太というのは、斧のヘッドが厚かろうが薄かろうが簡単に割れます。ならば、薄い斧を使ったほうが割り台から落とさずすむのです。押し分けてはじき飛ばす力が弱いので「割る」のではなく「切る」ように丸太を分けることができるのです。

 割った薪をまた拾う労力を減らすため、丸太を立てたままショートケーキを切り分けるように割っていく通称「ケーキ割り」という割り方をやることがありますが、薄い斧はこれがひじょうにやりやすい。





 薪割りの斧はヘッドが厚く刃がハマグリ型のものがいいというのが定説です。しかし適材適所です。割るのは枝のないスギがほとんどなのに、重い和斧ばかり使うのは労力のムダ。自分の使う丸太をよく観察して、ぜひ正反対の斧を使うことも考えてみてください。

 複数の斧を手に入れるなら、できるだけ性格が極端にちがったものがあると便利ですよ。長くて重くてヘッドの厚いものと、短くて軽くて薄いもの。

 最初の1本は好きなのを買って、とにかく使いこなしてみればいいでしょう。見た目もだいじです。さあやろう!という気にさせられますからね。

 そして2本目を買うときはできるだけ性格のちがったものを。長さ・重さ・ヘッドの厚さから考えて選んでみる。使い分ければ薪割り作業が圧倒的に楽しくラクになってきます。

 斧についてはいろいろと思い入れもあるので、また書いてみますね。





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[2014/12/11 22:55] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)

【岡本篤の加古川Watcher 0065】斧の選び方(2) 

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 岡本篤の加古川Watcher 0065号          2014/12/04
 斧の選び方(2)

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★ 斧の選び方(2)
★ 和斧を語るのはちょっとくやしいけれど……

 斧の選び方についての2回目は、前回お話しした3つのポイントに加えてコツのようなものを経験値としてお伝えしましょう。

 ホームセンターをはじめ日本の田舎で手に入りやすい和斧ですが、初めての斧としては根本的な欠陥がいくつかあります。

 まずは重すぎること。そして長すぎることです。

 とくに初めて薪割りをする女性にとっては、和斧はおすすめしません。薪割りをするのがいやになってしまう可能性が高い。LumberJacks加古川の活動目的は「山野に生きるハードルを下げること」ですので、最初はもっととっつきのいいものをおすすめします。





 国産派の言いぶんもわかるのですよ。

 わたしも先祖が兵庫県三木市ののこぎり鍛冶ですから、本当は国産の刃物がもっと使われてほしい。その気持ちにかけては人後に落ちないつもりです。日本の製鉄や鍛冶職人の技術にも「惚れこんでいる」といって過言ではありません。

 しかし、ひとたび薪割り初心者におすすめしようとすると、和斧はどうみても道具としての発展が数十年間止まったままの「過去の遺物」にしかみえません。2度のエネルギー革命で薪炭から石炭・石油に燃料のメインストリームが移ってから、日本の斧というのはほとんど何の進化もしていないのではないか。





 和斧を欧米の斧とくらべると、その工夫の総量の差は歴然としています。

 欧米は暖炉や薪ストーブなど直接火を見ることのできる伝統的な暖房装置を日本よりずっと重視してきました。石油やガスを使ういっぽうで薪の暖炉も使うという生活を続けています。たとえば米国のホワイトハウスには暖炉が28基もある。

米国ホワイトハウスのウェブサイト
http://www.whitehouse.gov/about/inside-white-house

 それにひきかえわが国の首相官邸には、太陽光発電パネルと雨水利用タンクしかないようです。国賓をむかえる場所としてはいささかみみっちい気がする。

首相官邸のウェブサイト
http://www.kantei.go.jp/jp/vt/main/04/photo01_1.html

 来日したレーガン大統領を囲炉裏でもてなした中曽根首相はわかってたんだなぁ、と感じざるを得ません。

 まあそんなわけで、欧米の斧と日本の斧は数十年の積み上げの差がある道具だと考えて差し支えありません。初めての人はとりあえず洋物の斧を選んだほうが無難ですね。





 Lumberjacks加古川の薪割りワークショップでは、初心者にはフィンランド製の樹脂製ハンドルを持つFiskars(フィスカース)という斧を使ってもらいます。見た目もおしゃれですし、携帯に便利なしっかりしたカバーもついています。わたしが経営するアインショップ神戸(http://www.einshop.jp/)でも販売していますので、ついでがあったら訪ねてみてください。

 また、もうちょっと重量が欲しいかたには、LumberJacksのメンバーの幾人かはスウェーデンのグレンスフォシュ・ブルークス社の斧を使っています。仕上がりが美しくて所有欲をそそるうえ、バランスがよくて狙いがつけやすい。これも1本目の斧としておすすめできます。

 前回お話ししたように洋斧は短尺のものがおおいので、自分の足先を切るケガにだけは気をつけてくださいね。





 2回で終わるかと思っていましたが、斧の話、もう1回続きます。ほんとに次で終わるかは定かではありません。

 話したいことは山ほどあるのだ。





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[2014/12/04 17:01] メルマガ・加古川Watcher | トラックバック(-) | コメント(-)



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