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広島市土砂災害現場ルポ(2) 

広島ルポロゴ

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 県道から住宅地に入ると、あたりがいきなり水浸し、泥浸しになった。ボランティアといっしょに住民が泥出しに励んでいるなかを、大きな土石流が起きた県営住宅方面に向かって歩く。

 住宅地の下のほうはまだ泥出しをすればすむからいいほうである。ほんの100メートル傾斜を登っていくと、すさまじい量の土砂、岩石、ガレキ、流木(というのか)、そして家そのものが押し寄せている光景が現れた。

 道路標識が半分がた泥に埋まってしまっている路地もあるし、建ったまま半分泥に埋まった家もある。そういう家のひとつをのぞき込んでみたら、1階の上半分が生活していた19日夜の姿のままで、下半分が泥で埋まっている。棚の上の観葉植物などまだ青々としていて、日常生活にいきなり大量の泥が押し寄せたことがよく分かる。

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 斜面の住宅地を上に登るほど、東日本大震災の津波被災地のような光景になってきた。泥の臭いのなかに、やや酸味のあるすえたような臭いが混じる。なぜこういう臭いになるのかはよく分からない。

 重機が轟音を立てて捜索作業に当たっている現場に近づくと、消防士が現場に入らないようわたしに強く注意してきた。作業の中心部には近づかないよう規制線がいちおう張ってあり、重機のすぐそばには近づくことができない。

DSC_1442.jpg

 べつに捜索作業の取材に来たわけではない。1本北側の路地に抜け、舌状に流れだした土石流を側面から回り込むようにして被災の中心になった上流部の県営住宅に近づく。



 かなり勾配が急だ。

 この八木地区は、太田川の右岸にある山としては近辺でいちばん高い阿武山(586メートル)のふもとにある。このひときわ高い山のふもとで最大の土石流が起きたわけだ。県営住宅から阿武山の山頂までは標高差が約500メートルで、直線距離にして1000メートルしかない。

 先日のブログ記事で尾道に言及したが、県営住宅に登っていく路地は急勾配はほんとうに神戸の山の手あたりによく似ている。建物の作りを見ると高度成長期に建てられた家が多いようだ。JR可部線(もともとは私鉄)に乗れば30分で広島駅に出られる利便性の高い住宅地として開けたらしい。モータリゼーションが行き届く前にできたため、住宅地へのクルマの乗り入れを考えて整備したというよりは、昔の道路をなんとかやりくりして使っているという印象が強い。そういう自然発生的にできた住宅地だ。

 航空写真を見てみると、1974─78年に撮影された航空写真ではまだ八木地区の半分くらいが畑で占められている。それが最近になると7─8割が住宅に変わった。それ以前のことはまだ確認できていないが、高度成長期以前にはそれほど人は住んでいなかったのかもしれない。

航空写真



 重機が動いている現場に側面から近づくと、テレビなどのマスメディアがカメラを並べていた。すぐそばに長靴にジャージ姿の被災者が5人ほど、身内の捜索を見守っている。

 いつもこういう現場でマスメディアの記者たちを見ていて違和感を覚えるのは、なぜこうも愛想が悪いのだろうかということだ。取材現場でニコニコしていろとは言わないが、挨拶もしない。

 こういう現場にはだいたい3種類の人しかいない。被災者とボランティア、自衛隊や消防など復旧作業員、そしてメディア関係者だ。それぞれの役割があり、仕事があって災害の現場に集まっている。目的は一つ。少しでも現状がよくなるように。それだけではないのだろうか。

 なかでもよそから来て復旧の手伝いもしないというのはメディアだけなのだ。しかも、被災者や復旧作業員たちに無遠慮にカメラを回しインタビューをするわけである。それでメシを食っている。ひときわの丁重さがあってもいいと思うのだが、たいていは逆にひじょうに横柄だ。「オレたちは忙しいんだ」と言わんばかりの。

 わたしは、被災者であれ自衛隊員や消防・警察の人たちであれ、メディア関係者であれ、「ご苦労様です」「お気を付けて」と登山で人とすれ違う時のように挨拶をする。そのように心がけているというよりは、仲間だと思っているから勝手に出る。しかしことメディア関係者はそういう連帯感というものがまったく発散していない人が多い。ダルそうに取材しているだけだ。

 被災者らしき60歳くらいの男性があらたに現場に近づいてきた。しゃべり好きの人物に見えた。しばらく現場の復旧作業を眺め「ウチはあの場所じゃない」などと連れの女性たちと話している。NHKの男性記者がそれとなく話しかけはじめた。すると、まるで盗み撮りならぬ盗み録音するかのように男性の後ろから集音係のマイクがスルスルと伸びてくる。

 話しかかっていた男性がマイクに気づいて言った。

「いらんことを言わないようにしような。この人たちはすぐに報道するから」

 そばで聞いていてあらためて愕然とした。マスメディアを中心とした報道機関への反感はつねづねウェブなどで聞かされていることだが、こんな現場であっさりとこういう言葉を聞くとショックが大きい。

 報道は民主主義が機能するために必須の装置だ。国民が主権者としての権利を行使するための情報を提供するのが仕事だ。その報道を必要ないとでも言いたげな口ぶり。

 しかもここはメディアスクラム(取材現場に報道機関が殺到する問題)などがよく取りざたされる殺人事件の現場などではない。災害の現場である。必要とされる情報があり、求められている対策がある。わりとシンプルな現場である。

 メディアに対する不信感もきわまれり。東日本大震災の現場では、もう少し仲間意識というものがあったように思うが……。

 この60歳の男性にしても、避難所で情報源として新聞を読み、テレビを見ているだろう。なのに、記者に対しては大きな不信感を持って対応している。

 取材というものがしにくい世の中になった。つまり、民主主義はまたいっそう日本から遠のいたのだろう。

 なのに、記者たちは今日も横柄なつらで仕事をしているのである。

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[2014/08/24 23:44] よもやまコメント | トラックバック(-) | CM(2)

自分の趣味や遊び、物見遊山で現場に来ている方もいます。自分がそれに含まれるのでわざと触れていないのでしょうか。上から目線で報道の方を馬鹿にしていますけど、遊びの方は避難中の留守宅に入る空き巣と同類の外道。何の役にも立っていない小バエのように感じます。


[2014/08/28 15:38] ドロドロ男 [ 編集 ]

はじめまして。地元の者です。

>こういう現場にはだいたい3種類の人しかいない。
いえいえ、もう1種類います。

調査と称してカメラ片手にノコノコやってくる観光客や似非自然愛好家。
マスコミの連中にもうんざりだが貴方のような人は更に嫌悪感を覚える。

メクソがハナクソを笑うな。私の家族が埋まっている上を歩くな。
[2014/08/27 14:47] とおりすがり [ 編集 ]

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