(株)ムサシ36期経営方針 

まだ中小企業ですがポスター


【「集中」から「拡大」に移行し人員増へ】

 経営者となって3年あまり、経営にあたってムサシの発展段階を「現人員をベースに現業に集中する」段階ととらえ、基本的に人員増はおこなわず、手薄だった部署や業務にできるだけテコ入れをしてきました。36期からは「拡大」段階とし全方向的にあらたな経営フェーズに突入します。このお話をもって本格的に1000億円への階段を上りはじめる宣言にしたいと考えています。

 現状のムサシは
「ホームセンター用のセンサーライトや園芸用品を製造するメーカー」
という立ち位置でしたが、このすべてにおいて変更をせまっていきます。つまり

業界はホームセンター業界に限らない
製品・サービスはセンサーライトや園芸製品に限らない
業態はファブレス製造業に限らない

ということです。あらゆる意味で現状からの脱皮を進めていきます。ついてはこれまで抑えてきた人員増を解禁し、必要な部署でのリクルート活動を開始してください。

 これまで3年間各部署がまいて育ててきたタネが芽を出しつつあります。そのためにこれまでの人員ではカバーしきれない業務が増えてきている。マーケティングや広報しかり、品質管理しかり、国外営業しかり、システム構築しかり。現状の人員のレベルアップ、能力向上はこれまでどおりはかりながら、外部からの新メンバーを迎え入れてチームの強化をはかります。

 これは部長級・経営者層がおもたる担当者とはなりますが、全従業員が「この人はいいんじゃないか」という人をおすすめてしていただきたい。当社は兵庫県の加古川市という、わりと中途半端な田舎に立地していますので、都市部より圧倒的に人材の獲得が難しい位置にあります。都会にある企業や大手とはちがった方法で人材を獲得していきたいんですね。この点ご協力をよろしくおねがいします。

 この新人の採用と並行して、パート従業員の中からも社員になりたい人はどんどん持ち上がりで社員として仕事をする人を増やします。

 また人事関連では、前期も実行したように、早帰り制度やフレックス出勤制度、在宅勤務制度など、だれでも働きやすく人生を充実しやすい制度をさらに充実させていきます。

 今年は早帰り制度が3日目に突入します。ついに今期の終わりには週の半分以上が定時帰りの日となるわけです。そんなことできるんだろうかと思いつつ導入した制度でしたが、ここまでみなさんのさまざまな工夫で実によく食らいついてくれました。しかも売上げを大幅にあげながら。こんなことができたとは何度考えても感動を覚えます。

 今期1年が終わると、ついに残業なしの日が週の半分を超えます。ぜひとも実現させましょう。



【人事方針 人間の成長を軸とした人事評価制度を作ります】

 従業員の成長を最大の目標として経営をおこないます。

 ちょっと遅れてはいますが、今年1年かけてこの会社の人事評価制度をおおきく刷新します。何をするための人事制度かというと、ひとえに従業員のみなさんの成長です。

 これには人間だれしも死ぬまで成長しつづけることができる。成長していくことは楽しいことだ。そして人間の成長をうながす組織こそがもっとも安定して成長できるという人間・組織観があります。

 ワンマン経営者が牛耳っている組織はワンマンがいなくなればおしまいです。優秀な社員だけを優遇している会社はその社員がいなくなればおしまいだし、優秀な社員以外のモチベーションを下げます。

 優秀な人間とそうではない人間というのはどこへいっても割合がきまっていてだいたい2対8です。これは別に悪いことではなくて世の中そういうものです。しかも仕事といってもいろいろある。突撃営業させたら優秀でも、緻密な企画を立てるのはからきしダメとか。そういうふうにできる2とできない8はちょっとした切り口ですぐ入れかわります。

 別に仕事ではなくてもかけっこをやっても大食い競争をやってもこういう結果になるので気にしないでください。そういうふうに世の中できているということです。アリだってまじめに働いているのは2割だそうですから。

 脱線はさておき、仕事で優秀な2にたよる会社をつくるのはわりと簡単です。2の人間だけ相手にしていればいいし、2だけに給料を優先配分していればいいわけです。きっとがんばってあるていどの業績を確保してくれるでしょう。

 しかし問題がある。そうするとカネだけでつながっている人間関係ができます。リソースの分け前にあずかることのできない8の人間は2の人間をサポートする必要はありません。だんだんやる気がなくなります。

 この会社はそういうふうにしたくないのですね。能力のある人ない人。スピードの遅い人速い人。いろいろな特徴がみんなあります。それぞれがそれぞれのペースで成長していけばいい。それが適材適所に配置され、おおいに協働して全体として成長していく。

 全員がそれぞれのペースで成長しても、けっきょくあいかわらず優秀な2の人が活躍するのは変わりません。それは世の中の法則ですから。しかし2の人が活躍するのを8がサポートするわけです。すると8がよりいっそう活躍できて、会社に利益を残していくようになる。

 こういう会社と社会を作りたいのですよ。

 野球にたとえれば9人の打者のうち2人だけスラッガーがいて2人だけめちゃくちゃ年俸が高い。そういうチームがありますね(ま、巨人です)。ほかの7人はたいしてモチベーションも上がりませんから適当にプレーしています。単なるヘボバッターとして見送り三振をして帰ってくる。スラッガー2人の前に塁に出ておけばいいのに、なんとか四球をえらぶとかそういうことは考えない。

 敵チームに勝つことはできるかもしれませんが、4対3の辛勝といった感じですね。

 そうではなく2人のスラッガーを完璧に活かすチームがあるとする。2人の前では可能なかぎり塁に出て、ピッチャーを研究して盗塁や犠打で1つでも進塁させておこうとする。ランナーがモーションをかけてわずかでもピッチャーのリズムをくずす。そうするとスラッガーは自分たちの能力以上の力を出すことができるわけです。

 つまり敵チームに勝つときに10対3の圧勝を決めることができる。

 わたしが作りたいのはそういう集団でありチームです。エースはどっちみち少なくていいのです。1番から9番までいろいろな個性があるわけです。それぞれの場でそれぞれが成長し、協働すればチームとしての圧倒的な強さに貢献する。

 そういう局面がここ数年のムサシにはすでにあったのではないですか。たとえば営業が勝負の商談を決めてくるときにデザイン課が徹夜にちかい準備をしてわずか1%でも勝率をあげる。5S活動で効率化した物流部門スタッフは、受注した製品を欠品なく遅れずに出荷する。

 そういうことがすでにできかけているのがこのムサシというチームです。これはじつはほかの会社はなかなかできることではありません。この誇るべき社風を、流れに帆をかけてさらに上等なものに作りあげたい。これが人事評価制度が目指すところです。



【健全な経営のための2本柱 カイゼンと長期戦略】

 会社の経営を健全にすすめるためにわたしは2つの条件があると考えています。

 1つめは経営者が正しい戦略を立てること、2つめは従業員が自分の持ち場をカイゼンしつづけることです。

 戦略を立てるのは経営者の仕事です。これからわたしはみなさんを「もっとももうかりやすい場所」に連れて行く責務があります。これを全うしたい。この時代をを読む力が狂っているとどんなに従業員ががんばってももうかりません。これは完全にわたしの責任です。

 日本企業の生産性のひくさが指摘されるのは、安値でしか売れないものをすごい高効率で作っているからです。いきおい長時間労働の傾向がつよくなります。

 職階が上になるほど戦略にたずさわる機会が多くなります。みなさん中にも、これから経営者になる人が出てきます。出てこないといけません。売上1000億円というのはそういうことです。日ごろから時代を読む訓練をしておいてください。

 そういう方向にわたしが連れて行きますから、そこからはみなさんの仕事です。現場を毎日毎時毎分毎秒変え続ける。業務(そして自分と周囲)を変えていく。これがカイゼンです。

 カイゼンというのは過去におこなわれてきたことを「良かれと思う方向に変更すること」です。

 これはあまり難しく考えなくてけっこう。たとえばモノの運搬方法を変更して、かえって効率が悪くなったからまた元の方法に戻したとします。これは2つのカイゼンによる大きな前進、ナイストライです。

 「業務の品質としては前進していないじゃないか」という声もあるかもしれません。元にもどったわけですから。しかし「こういう内容の変更をしたが効果はなかった」という経験知が会社に蓄積される。これはおおきな前進なのです。こういう心がまえで気軽にカイゼン活動に取り組んでください。失敗おおいにけっこう、というより、元に戻せばなんとかなってしまうような見直しのことは「失敗」などと呼ぶ必要すらありません。

 日本人は失敗に異様に厳しい傾向がありますが、ムサシという組織の運営にあたってはそういう傾向はできるだけ排除していきたいと考えています。トライにはエラーの可能性がふくまれます。成功が保証されたものは一種冒険的な内容をふくむ「企業(=エンタープライズ)」のやることではありません。失敗を100%避けようとするのは最大の失敗です。

 とにかくまずはカイゼンカイゼンまたカイゼンです。新しいトライが日常になるまでやりつづけてください。



【本社移転を奇貨として成長のベースをつくる】

 播磨南北道の開通が2021年の春に予定されていますので猶予はあと3年となっています。開通が3年後ですから、当社としては新本社での移転・業務開始を2年をめどとして準備を進めていきます。

 2年後に移転のまえにやっておきたいことがあります。それがセンターでの集中業務なのです。

 このたびの本社移転はさまざまな意味でひじょうにめんどうな話ではあります。しかしチャンスととらえたい。この移転は当社が化けるチャンスにできるかもしれません。

 これからセンターにできるだけ業務の中心を移動させようとしています。過去にわたしが社長に就任するのと前後して2階と3階に分かれていたスタッフをまとめましたが、ご存じのとおりコミュニケーションがスムーズになりました。

 開発・営業・物流・管理そのほかすべての業務を1カ所に集中しておこなうのが移転したあとの本社の姿になりますが、一度手狭であっても従業員を一カ所にあつめ、できるだけ情報やモノの流れを整理した形をつくりたいのです。どれくらい効率的に業務をおこなうことができるかの実験をくりかえしていく。

 そして実験の結果、あたらしい本社とはこういう面積・こういう建屋・こういう設備・こういうコンピュータシステムを採用していくべきだというメドを作りたいのです。

 新しい本社社屋+物流センターは、この世の天国のような場所を作りたい。リモートワークなどが普及して労働のありかたも変わってきましたが、いまだに会社は毎日従業員のみなさんが通い、人生の大半をすごす時間になるわけです。

 その場所は「ああ、こんな場所で仕事ができて幸せだ」という場所にしたいのです。

 その場所はもちろん最小の労力で最高の業務効率を達成できる場所にする必要がある。すなわちもうかりやすい場所です。

 そのための実験を今年から開始します。天国を作るための実験とかんがえて、前例のないアイデアでも採用していきます。たとえばコストコで使っているような売上紙幣を空圧で送る装置。あっちからこっちの事務所へ書類が一瞬で転送できるような仕組みが作れる。これは300万─400万円で導入できることがわかっています。

 ラック倉庫をムサシは昔導入していますが、そのころには先進的な設備だったはずで大きな投資をしたわけです。時代は自動ピッキングのロボット倉庫のようなものが実現されてきている。そういうものも「導入を前提として検討」していきたい。出荷情報を入力さえすれば、24時間態勢でロボットがピッキングして出荷していく。そんな仕組みさえ作れるかもしれません(当社は商品の種類が少なさがメリットですから)

 センターへの移動は「これまでの業務をこれまでどおり進める」ためにはめんどくさいでしょう。しかし前にも書いたように、これはカイゼン的ではありません。センターに移動するのは新しい社屋をつくるためのカイゼンを前もっておこなうためです。

 じつは5S活動やカイゼン活動は本社の社員諸君よりセンターのパートさんたちの方が圧倒的にレベルと頻度が上です。そこのミックスも期待しているんですね。

 従業員全員の知恵を結集し、短期間にあらゆる実験をやりつくし、可能性を検討して新しい社屋に移りたい。それを手伝ってほしいのです。

 みなさんの協力を心よりおねがいします。

 以上、36期以降のあたらしい時代にむけての方針説明とします。ありがとうございました。



[2018/03/14 16:37] 会社経営 / ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)