明石運転免許試験場で大型二輪免許を飛び込みで取ってみる(1) 

 大型二輪免許を取得しました。イェイ。

 思えば18歳の時に中型二輪免許を取得してから18年。どうしても大型免許がほしくなったのは、BMWのGSシリーズに乗りたくなったからです。これまでダートバイクばかり乗ってきたのですが、ここのところ長距離移動が長くなり(南三陸5回とか和歌山とか土佐清水とか広島とか)、自動車を使う機会が多くなってきてしまった。

 しかし個人的に自動車は好きではありません。外界から遮蔽されたかんじが。

 自動車に乗るようになって同じ道路をバイクで走り比べてみると、景色の立体感とか存在感の強さがまったく違うのがよくわかります。バイクで走ると同じ風景でも身に迫ってくるような実感があります。自動車しか乗らない人はすごくソンしてると思うよ。

 ほんとうはもっとスローに自転車や徒歩が旅の味わいとしてはベストでしょう。でも21世紀の旅人にはちょっとスピードが遅すぎるので、これは状況によって使い分けを意識したいところです。

 ちなみに、水上旅行でもモーターボートとカヌーとヨットではずいぶん違います。人力のカヌーが旅の味わい深さとしてはもちろんいちばん。当然疲れるしスピードは最低です。時速5─10kmくらいかな。潮にも大きく左右されます。ヨットはスピードが自分では決められない文字通りの風任せだけれど、いい風が吹けばすばらしいスピード(20km/hくらいは簡単に)が労力ゼロ・燃料ゼロで得られるというまた得難い体験ができる船です。モーターの騒音とも無縁。聞こえるのは風と波の音だけです。

 20km/hと聞いて勘違いする方がいるかもしれません。船って「時速●キロ」って書くと車に比べて速度がすごく遅いと思うでしょ?でも目的地まで完全に直線最短距離で移動できるので、ご想像よりずっと速い。海を道と考えることができると、地球がちがって見えてきます。たとえばこれを書いているのは淡路島の洲本市ですが、ここはモーターボートなら和歌山市まで30分でヒョイっと行けます。陸上移動しか考えられなければ和歌山なんて遠すぎて目的地の候補にすらなりませんが、船を使うことに慣れていれば「和歌山ラーメンでも食べに行こうか」って感じになります。


 冒頭から話がそれましたが、そんなわけで、とにかくバイクで高速移動するのは年来の希望でした。勝間和代に負けたくないし。

 まず運転練習場に行ってみました。行ったのはここ。稲美町にあるアインカースクール(http://ein.flc.ne.jp/)。なんか聞いたことのある名前だな。

 ここで練習をして18年前の試験勘を取り戻し、明石運転免許試験場の技能一発試験で合格しようというのがもくろみです。

 大型二輪免許を教習所で取ろうとすると10万円弱くらいかかってしまいます。明石の技能試験は1回約5000円かかりますが、たとえ10回かかっても50000円ですみます。事前に話を聞いたBMW Motorrad Kobe(@須磨)の山本さんによると「まあ5回くらい行けば受かるんじゃないでしょうか」とのことだった。5回なら、25000円ですむじゃないか。しかも平均値で。

 というわけで、10月末、アインカースクールにとりあえず2時間の練習を予約します。当日はトライアルバイク好きの教官が丁寧に教えてくれました。「2時間でぜんぶひととおりお願いします」と頼んだので、練習しながら早口で一気に教えてもらいます。でないと終わらないくらい注意点がたくさんある。

 こまかい注意点を走行区間ごとに教えてくれ、課題走行では教官がストップウォッチで秒数を計測してくれます。わたしは長らく二輪車に乗っているし、ダートバイクで大石ゴロゴロの川原や砂浜などを走ったり転倒したりしているので、課題走行はたぶん問題ないと思っていました。たしかに超低速バランス走行の一本橋と、超低速スタンディング波状路はまったく問題なし。バイクが大きいのでダートバイクより安定性が高く、簡単です。倍くらい時間かけてもだいじょうぶだ。

 しかしスラロームはメチャむずかしかった。これはダートバイクにしか乗ったことがないからで、倍くらい重く重心が低い大型のロードバイクを曲げるためにバランスを崩す均衡点が短時間ではつかめないのです。太ももでニーグリップなんかしたことないし。

 ダートバイクではどっちかというとくるぶしからスネあたりでのグリップがメインなんですよ。でもまあ、総合的には技術的は問題ありませんでした。ホッ。

 ほかの課題走行にかんしては、バイクにパワーがあるので坂道発信なんか簡単ですし(傾斜も緩い)、S字とクランク走行も思ったより道が広くて楽勝です。ここは時間制限もありませんし。

 けっきょくやはり明石の技能試験で最大の難関は、ひじょうに細かい法規走行ルールについてミスを消せるかどうかです。わたしがついつい忘れたり困ったりしたのは以下の点でした。


【右折時のライン取り】
試験コースは2種類あって「70コース」「71コース」と呼ばれるのですが、わたしは両日とも70コースでした。コースはとにかく右折回数が多くなるように作ってあります。右折するときは道路の中央部ギリギリを回らないと減点。誰も走行していない試験コースなのに、Rの小さな交差点を鋭角で曲がる必要があります。しかも後述のようにまったく慣れていないバイクで。とにかく不自然。

【異様にせわしないコース】
右左折するときは30m手前ですでに曲がる側に寄っておく必要があります。するとそれ以前にウインカー点灯&確認・幅寄せという作業をすませなくてはいけない。なのに試験場のコースはすごく交差点やカーブが混み合っているので、ほとんどウインカー操作と安全確認のしっぱなしといった感じになります。たとえばS字・クランクを終える直前に左右確認して左折、10m後に再び左折、そこから5メートル(!)の距離にある信号を右折、などというかんじ。幅寄せをするための距離がありませんし、そこは「安全のための常識にもとづいて」というようなところがあります。こういう現実にはありえないようなせわしないコース取りの連続になっていますので、試験官が見る勘所を押さえないと頭がごちゃごちゃになります。

【コースが覚えにくい】
上記のとおりバイクの試験コースは実際の道路ではありえないくらいせせこましいので1回実際に走らないと距離感覚がつかめずコースを覚えにくい。ミスコースは減点対象ではないけれど、混乱するのですごく不利。わたしは1回目の試験で2回ミスコースしました。慌てることはありませんでしたが、やっぱり損です。3回ミスコースしても合格した人もいるそうですから、試験場でミスコースしたときはとにかく深呼吸しましょう。

【急制動のタイミングが分かりづらい】
急制動のスピード測定区間(40km/h以上)と直後にブレーキをかけるタイミングがつかみにくい。なんせ乗せて練習をさせてくれないので。あと試験車両の急ブレーキ時のきき具合も事前にチェックしようがないので、初めての試験ではメクラで急制動に突入ということになります。吹っ飛ぶ人がときどきいるそうで、急制動箇所のそばにあるコンクリ壁には衝突安全用のタイヤが並べてありました。

【慣らし運転が短い】
慣らし運転はコース1/4周の100mくらいしかさせてもらえません。これはあまりに非情だと思う。かといってアクセルとクラッチの感覚をつかむためにブォンブォンとふかしているとわたしのように減点(たぶん)になるようです。

【レバーは3本指以上で握るべし】
ワケの分からないルール。クラッチとアクセルブレーキレバーは3本以上の指で握らなくてはいけません。これは辛かった。普段は1本か2本なのでどうしてもクセが出ます。3本で握っちゃったらグリップに小指しか残らないじゃないか。人間の指は人差し指・中指と薬指・小指が連動して動くようにできているので、3本指でレバーを握るというのは明らかに不自然で危険だと思います。急制動や衝突のショックでグリップがすっぽ抜ける可能性がある。人差し指と親指でグリップを握り残る3本でレバーを握る人もいるそうですが、体側(たいそく)に近い3本指がグリップ保持に参加しないのは人間の腕の作りを見てもおかしい。竹刀を親指と人差し指で握る馬鹿はいません。

 明石の試験場は11月10日・17日ともカワサキのゼファー750ccでした。助かったのは両日ともに使った4号車が新品のピカピカだったことです。クラッチもアクセルもブレーキもスムーズで、とても乗りやすかった。もっと乗ってたいなぁ、って感じでした。

 40km/h以上を出さないといけない指定速度区間というのがあるのですが、その短いストレートで一気に50km/hくらいのスピードを出してみたのですが、心地いいことといったらありません。でもこの指定速度区間の次のカーブを曲がりきれずに突っ込んで病院行きになった人がいるそうですのでくれぐれも緊張のしすぎにはご注意を。

 最近大型バイクがさらに大型化してるので、近く試験車両も1000ccクラスになるそうです。小柄な人は早めに行ったほうがいいかもしれません。

 飛び込み大型二輪話を次回も続けます。



[2011/11/20 01:52] 加古川・兵庫 | TB(0) | CM(1)

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[2011/11/20 21:32] - [ 編集 ]

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