スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[--/--/-- --:--] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

フランス人のDIY 

IMG_8824.jpg

 このたびのフランスへの旅でいちばん驚いたのが、人々があまりに日常的に、かつ熱心にDIYをおこなっていることでした。

 訪ねたのはブリーブ・ラ・ガイヤルドというフランス南西部の農業地帯にある中核都市。自治体のサイズがずいぶんちがいますが、フランスの県はおそらく日本の「旧体制の国」つまりたとえば摂津とか播磨とか丹波とか、くらいのサイズだとおもえばいいでしょう。わりと小ぶりで、その地方のむかしからの経済圏を反映している。ブリーブはコレーズ県の中核都市で、おそらく加古川市くらいのサイズだ。

 ホームセンターをたずねました。

IMG_8804.jpg

 地方の中核都市ですので商圏がひろく、そのぶんホームセンターも大型店舗がおおいのでしょうが、それにしてもまず訪ねたブリコ・デポという店舗で売っている商品のラインナップの多さに驚きました。塗料やネジ・クギのたぐいはもちろんですが、もっと大きな、たとえば日本ではまずホームセンターで売っていないドアやら便器やら台所のシンクやら、かなりの大物まで売っているのです。それも多種類。

IMG_8932.jpg
【写真説明】これはブリコ・デポとは別の店。だいたいこんなふうにバスタブとかドアとかの大物も売っている。

 さらに驚いたのは、この店を訪ねたのが月曜日の午前中だったにもかかわらず、職人とか工事業者ではなくどうみても一般人がこうした大物商品をどんどん買っていくのですね。

 ひとりでやってきて台所のシンクを物色している女性を見たときにはカルチャーショックでした。ほかにも若い夫婦がカートに子どもを乗せてあるき(もういちど言いますが月曜の午前中です)、老夫婦がたくさんの資材を調達しています。日本人は資材売場に来るのはおっさん1人です。たぶん夫婦で間取りとか相談しながら買い物しているのでしょう。とにかく職人や業者のほうが圧倒的にすくない。

IMG_8829.jpg

 日本のホームセンターやイケアやニトリみたいな家具店のように、買ってきて自宅に設置したらそれでおわり、という商品の店ではないのです。自分で作るための部品や大物の部材ばかりをカートに乗せているのです。店の外では牽引車や車の屋根のキャリアにこうした大物商品を積んでいる。

 ちょっと日本人の「日曜大工」とはレベルが違うようです。フランス語で「ブリコラージュ」というのが「日曜大工」「DIY」という意味ですが、このブリコラージュがほんとうに生活に根付いているようなのです。



 一計を案じ、本屋に行ってみました。それほど一般人がDIYをするのであれば、そのための指南書やハウツー本が本屋にいくと置いてあるのではないかと思ったんですね。

 ありました。すごいのがある。「家庭の医学」みたいなサイズと厚さのフルカラーの「DIY大百科」が3種類もおいてあるではないですか。しかも立ち読みしてみたら木工とかガーデニングにとどまらず、石材の積みかた、水道の配管の方法、電気配線のしかたにはじまり、ついには地下室を掘りかたなんて記事まで見つけてしまった。ちなみにフランスの家庭用電源の電圧は220ボルトです。失敗したら死ぬよ(たぶん死んでる)。

IMG_8883.jpg

 こういうことをやるのが普通なんですね。大百科以外にもいろんな分野の専門書籍がたくさんありました。

 なぜそれほどフランス人がDIYをやるのか。帰路の飛行機でとなりに座ったのがちょうどいいぐあいの田舎出身のインテリフランス人(国連難民高等弁務官事務所の職員でした)だったので、詳しく聞いてみました。

 案の定フランスではDIYで自分の家を改築したり家具を作ったりするのがあたりまえで、できないと「パリのやつらはクギもまっすぐ打てない」なんてバカにされたりするんだそうだ。この四十代の男性は自分自身はDIYなんかまるきり苦手なのですが、やらないとバカにされるので「何十回もホームセンターに通って家を直しました」と話していました。

 さらにそれを友だちどうしで手伝ったりするのがふつうなんだといいます。やれ友だちの車が壊れたの、やれ知り合いの家のペンキを塗るのといってしょっちゅう一緒にそういう作業をやるんだそうです。

 女性でも同じ。ホームセンターで大きな台所の大きなシンクを物色している女性をみてびっくりしました話を書きましたが、信じがたいことに、この女性はおそらくほんとうに自分でこのシンクをつけるのです。でなければ女性がひとりでシンク売場で悩むはずがない。

IMG_8828.jpg


 DIY大国成立の理由を考えてみました。

 もともとヨーロッパ諸国というのは緯度が高く、比較的温暖なフランスですらじつは北海道や樺太と同じくらいの緯度にある国です。つまりはひどく寒冷で昔は貧しかったはずだ。さらにバカンスがありますから、ヨーロッパの人々は日常的にはひじょうに倹約します。DIYはこの倹約の一環なのですね。こういう節約志向という条件がまずあります。

 さらに、フランスが農業国なのもDIY好きに拍車を掛けている可能性があります。

 面積が日本の1.5倍もあるのに、人口は日本の半分の6000万人しかおらず、しかも土地が日本にくらべると圧倒的に平坦で広いため農業がひじょうに発展しています。パリからレンタカーで小一時間も郊外にでると「まるっきり北海道そっくり」という広大で平坦な農地が広がります。

 日本でも「百姓というのは百の仕事をするからそう呼ばれる」なんていう話があるとおり、農民というのはなんでも自分でやってしまいます。フランスでも農業人口は減っているそうですが、もともとの農民の血がこういうDIY体質を生んでいるのではないでしょうか。このてん完全に都市型社会のシンガポールとかドバイとかの人々は、今後どう転んでもトンカチ握ってDIYをはじめることはないような気がします。

IMG_8844.jpg
【写真説明】牽引車がむちゃくちゃ多い。運ぶ気満々だ。田舎町のブリーブだと目測でクルマ10台に1台はヒッチ(牽引車の接続具)が付いていた。資材売場はクルマでそのまま乗り込むスタイル。

 そういえばわたしの知り合いでも北海道に住んでいる人は内地の人間より行動パターンがかなりたくましい人がおおいですね。東京で会ったふわっとした女性に「むかしセロー乗ってましたよ」って言われて驚いたことがある。なるほど道産子ってこういうことかぁ。

 もうひとつの理由として、これはたぶんですが職人の質が日本のように高くない。日本の建築関係の職人というのはおそらく世界一まじめで仕事がていねいです。ところがフランスは見た目はおしゃれですが、さるホームセンターの建物も帰りのシャルルドゴール空港も雨漏りしていました(笑)。そんなに雨が多い土地じゃないのにこのザマですから、自分で日曜大工をやっても金をはらって本職にたのんでも、日本ほどクオリティが変わらないのでしょう。

 最後の理由として、さきほど述べた「いっしょにやる」文化があるのだとおもいます。DIYをやっていると細かいところがわからなかったりつまづいたり失敗したりの連続です。それを周囲の人が手伝うのが一般的であるという生活文化がある。つまり「DIY(Do It Yourself)」じゃなくて「DIO(Do It Ourselves)」なんですねじつは。



 日本人だって3代前をさかのぼればほとんどの人が百姓で、たんぼや畑の耕作はもちろん、牛やニワトリを飼い家の壁をなおし、屋根をふきかえとあらゆる仕事を自宅や集落でやってきたはずです。しかし高度経済成長の50年間は日本人を「買って終わり」の消費者に変えてしまいました。

 しかし日本社会がだんだん全体的に貧乏になってくるにしたがって、田舎に住んで共同で空き家をなおしたり、畑をやったりする若者が増えてきています。こういう動きをみていると、失ったものは多いしまだまだ時間はかかるとはいえ、日本人は最終的に収まるところに収まるんじゃないかと。
 
 まだまだ希望的観測ではありますが、景気も悪くなってそのうち楽しい世の中がきそうな気がしています。


[2017/10/03 01:52] よもやまコメント | トラックバック(-) | コメント(-)

安さが海外で持つインパクト 

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

[2017/08/17 04:24] ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)

名刺がない、住所もない 

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

[2017/08/10 04:08] ビジネス | トラックバック(-) | コメント(-)



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。